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北は北海道から、南は九州・沖縄の主要な都市にある裁判所で「現行の最賃は憲法・最賃法違反である」「厚生労働省の5つのゴマカシを正せば、どこでも1、000円以上の最賃にできる」「少なくとも最賃時間額は即刻1、000円以上に」の最賃裁判をたたかえば、全国一律最賃のイメージが大きくふくらみます。また、世界の常識は全国一律最賃制度であることを訴え、憲法27条の働く権利、25条の生存権、13条の幸福追求権をいかして世界水準である平均賃金の50%、月額20万円の最賃額の展望も切り開くことができます。 いまから約40年前の1975年(昭和50年)には、当時の社会・公明・民社・共産党の四党が画期的な全国一律最低賃金法案を国会に提出したことがありました。残念ながらこの法案は成立しませんでした。 この全国一律最賃制確立闘争への対応として登場した「目安」制度は「地域最賃の全国的整合性」に配慮し、地方の最賃決定前に中央で引き上げ額の「目安」を出すという建前で導入されました。しかし、1990ー2005年までは最高と最低の格差が100対85程度と維持していましたが、その後85を割り、2011年には77程度と全国的格差の縮小機能は破綻しています。現在は最賃水準を低額に押さえつけ、地域間格差を広げる原因となっています。この中賃「目安」を決める根拠となっているのが「まやかしの最賃額計算式」であり、裁判はこの根本問題に直接切り込み、違法性を立証しつつあります。 「最賃は生活保護基準以上に」の大臣答弁にあるような立法趣旨をねじ曲げる行政の不正、不作為、裁量権逸脱をただす最賃裁判を全国の裁判所でたたかい、全労連の最低生計費調査をいかせば、全国一律最賃の世論と展望を広げることができます。この裁判闘争を起点に、原告=働く貧困層の当事者の苦しみと怒り、叫びを結集して、地域最賃、企業内・産業別最賃引上げ、すべての地方議会への意見書採択、国会論戦、議員・政党への要請の運動などを有効にくみあわせれば、裁判闘争から立法闘争への発展、国会に法案を出させる闘いへ発展できると思います。 南は沖縄・石垣島から、北は礼文・利尻島から、各地の最賃裁判や最賃闘争を激励しながら東京・国会に向けた「全国一律最賃実現の大行進をやろう」「最賃闘争で未組織労働者の大規模な組織化を」等の壮大でロマンあふれる運動構想の声もだされています。 最賃裁判に時間額1、000円未満で働く仲間を大結集して、人間らしく生き働く保障、国民の最低生活保障の基軸となる全国一律最賃制度の法制化をしていきましょう!全国一律最低賃金制度の法制化への展望1239全国一律最低賃金制度の法制化への展望24