新型コロナウィルスに感染したと判明する人数は、一定減少していますが、地域経済や雇用・賃金など労働条件への影響はますます広がっています。危機を打開するために、労働組合の役割を発揮したとりくみが各組織で進められています。
指定管理者制度で
自治体が施設などの運営を委託する制度である「指定管理者制度」。指定管理施設で働く複数の労働者から相談が寄せられました。
相談内容はいずれも「施設が休館になり休業させられているが、補償がされていない」というもの。上司などに問い合わせても「払う予定はない」などと言われ、困って相談を寄せてきたものです。
大問題なのは、指定管理者に対しては休館になっても指定管理料が全額支払われていることです。また、休館のために減少した利用料や備品費についても、前年同月実績などをもとに自治体から指定管理者に補填されることになっています。つまり、施設の休館によって指定管理者の損失はほとんどありません。にもかかわらず、労働者の休業補償が払われていませんでした。もちろん指定管理料の原資は私たちの払った税金です。
一定の補償を実現
相談者が組合に加入し、複数の指定管理者と団体交渉や話し合いを行うなかで、100%ではありませんが、一定の補償を実現させています。しかも全国展開する指定管理者においては、すべての労働者に対して同様の対応を行うとしており、相当数の労働者の賃金補償を実現することになります。
神奈川労連として、指定管理者に働きかけるとともに、発注者責任のある自治体が自ら監督指導を行うことを求めていきます。そして、公的施設において労働者を低賃金で働かせる指定管理者制度の改善・廃止のとりくみも検討していきます。
地域から自治体へ
川崎では労働組合や様々な団体が共同して、川崎市に対しコロナ対策の充実を求める行動がとりくまれました。
6月17日に70人を超える仲間が市役所前に結集し、「政令市のなかでも財政力が豊かなのに、独自の支援策がほとんどない。姿勢を転換し、市民・業者などを支えるべき」と訴え、要請行動やターミナル宣伝もとりくみました。市民の声に押されて独自財政を使った支援策も実現しています。
他の地域においても自治体要請がとりくまれ、運動と世論によって、自治体独自の支援策も拡充してきています。地方創生臨時交付金がさらに拡充されることから、自治体への働きかけがますます重要になります。
医療・介護が危機的状況
新型コロナに対し最前線でとりくんでいる医療や介護の職場が危機に瀕しています。一般外来や利用者の減少によって、大きく収入が落ち込み事業を継続できない危険性が高まっています。そのことが労働者にも影響し、「報われないどころか、一時金削減」などの事態が起こっています。
県医労連は、医療機関・介護施設への財政的支援を求める要請書を全自治体に送付し、記者会見を行ってマスコミ各社にも取り上げられました。運動によって新型コロナの患者を受け入れた医療機関には一定の措置が実現していますが、まだまだ不十分であり、さらなるとりくみを進めることにしています。
上の写真:記者会見で訴える医労連の仲間