神奈川労連労働相談センターには、新型コロナの影響による深刻な相談が次々と寄せられています(下記の具体事例参照)。相談員のみなさんにフル回転していただき、役員も対応しながら問題解決と組織化をめざしています。
過去最高の件数
4月にコロナ関係の相談が急増し、5月も同じ状況が続いています。4~5月(25日現在)の相談件数全体は446件で、前年度の2倍以上となり過去最高の件数です。5月のコロナ関連の相談は184件で、全体の90%以上となっています。相談の特徴は、左の円グラフで示しています。雇用主に対して立場の弱いパートや派遣、契約など非正規労働者、そして女性からの相談が多くなっています。構造的に多くの女性が非正規雇用にさせられている問題が顕在化しています。
悪質な事例も
相談内容では、「休業補償」に関するものが、約60%ともっとも多くなっています。中小企業においては雇用主が、雇用調整助成金を活用しようとしない事例も多くあります。また、悪質なのは自治体の指定管理者制度や委託事業、補助金拠出事業において、事業が中止・縮小したことに伴って労働者を休業させた際に、自治体からは委託料などが全額支払われているにもかかわらず、休業補償をまったくしないという事例です。当事者に組合加入していただき、交渉によって補償させるとともに、議員さんなどとも連携して該当するすべての労働者に賃金を補償させるとりくみを進めています。
また、解雇にかかわる相談が、3月18件、4月50件、5月41件と増加しており、今後、雇用を守るとりくみが重要になります。
新型コロナ関連の相談事例
- 専門学校の講師。学校から、例年4月だった契約開始時期を8月にずらしたいと言ってきた。休校になっていた時期の賃金補償はないと言われた。(女性、50代)
- 航空関係の仕事。空港が止まってしまい仕事がない。4年間、契約社員で働いてきたが、5月末で解雇と言われた。指名解雇であり、基準が不明。(女性、50代)
- 派遣としてホテルで16年間、週4日・1日10時間、時間給で働いている。社会保険も雇用保険もなし、有給も取ったことがない。4月3日を最後に仕事がなく無収入。(男性、40代)
- 自治体の指定管理施設で働いている。4月下旬から働いている施設が休館になったが、休業補償がなく、有給も使い果たした。生活できない。(女性、60代)
- 認定保育園で22年、週4日・1日4時間働いている。登園する子どもが少なくなったら「勝手に休んでください」と言われ、いま週2日・1〜2時間しか働けない。いっさい補償がない。
(女性、50代) - 美容学校を卒業し、内定が決まり4月入社予定だった。5月まで休業になり、自宅待機と言われ、賃金も払われるかわからない。新卒者が3人いる。(男性、20代)
- 夫が飲用水のコンビニへの配送業務。コロナで、働く時間が減らされ補償がない。自分もパートで1日5時間働いているが、家賃も払えない。(女性、40代)
- 観光地でレンタル業でずっと働いている。4月初旬から休業になっているが賃金の補償がない。取締役に相談したが知らん顔。店は全員パート。(女性、50代)
- 外資系の観光会社に1月入社。CEOは「雇用は必ず守る」と言っていた。ところが、半数の労働者が解雇され、新人同期も約7割が解雇。(女性、30代)