神奈川労連

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労働相談コラム

2020年2月4日

ハラスメントの相談の難しさ

 すべてのトラブルにおいて、その解決をはかり、再発を防止するための第1歩は事実確認にあります。卑見ながら、事実確認の丁寧さが事後対応の成否を決めるとも言えるでしょう。

 しかし、少なくとも電話でのハラスメントの相談のほとんどは、事実経過がハッキリしません。その理由として、①加害者が行った具体的な行為と、すでに十分もつれてしまった文脈を踏まえた被害者の受け止めにズレがあるということ、②本人が精神的に疲弊してしまっているために過去の加害の事実の詳細を思い出せない、などがあると思います。

 そのような中で、①の観点からは、スマホなどで加害者の発言を録音することに加えて、被害者がその行為や言葉をどう受け止めたかをメモとして記録しておくこと、②の観点からは、少なくとも被害者が精神的な被害を受けている事実を医師に診断書として証明してもらうこと、などをお薦めしています。

 これらの対応はあくまでも初期対応です。どんなトラブルに関する事実確認であれ、加害者と被害者の主張する事実の真偽を確定する公正で中立な第三者が必要です。職場におけるハラスメントについては、そのような第三者の役割を果たすことは、第一義的には使用者の責任です。

 しかし、残念ながらすべての使用者が、常に誠実に対応するとは限りません。電話相談では、労働組合による団体交渉や労働局の個別紛争調整制度の利用などにより使用者の誠意ある対応を引き出すよう情報提供して初期対応としています。

 同時に、ほとんどの被害者(相談者)が精神的なダメージを抱えているので、そうした制度的なお話しに加えて、まずは、私たち自身ができるだけ誠実に受け答えしながら、ご本人が解決に向けて一歩を踏み出す元気を出していただくよう、心がけて対応しています。

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