神奈川労連

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労働相談コラム

2018年3月5日

拡大は許されない裁量労働

 いま国会では、「働き方改革」法案に盛り込まれた裁量労働制の拡大が審議され、その問題が浮き彫りになっている。そういう中で、今回は、介護事業の会社の「役員」という方からあった相談について紹介したい。

 この会社は、7~8か所でデイサービスなどの介護事業を展開していて、相談者は、一応「役員」ではあるものの、職員給与の支給をうけて、事業所の立ち上げ・労務管理・介護報酬請求業務などを一手に行っている。

 会社からは、「役員であり管理者だから、自分の裁量で働けばいい」と言われているが、実際は、前記の業務をすべて押し付けられ、毎日のように深夜までの労働を強いられている。2週間以上休みが取れないこともあり、8時間を超える労働は月120時間にもなる。

体調がおかしくなって、「辞めたい」と会社に言ったが、決済も受けて導入した労務管理ソフトを「他の人が使えないから」と弁償請求されて困っているとのことだった。まったく酷い話である。

 「当然、弁償することなく退職できるし、時間外の請求もできる」と話して、組合加入して交渉することを勧めた。「まずは自分で話をしてみる」ということだったが、いまのところ、紹介した組合への連絡はないようで、その後どうなったか気になるところである。

 この相談のように、まじめな労働者がその「責任感」を利用され、事業者・使用者の立場に置き換えられて責任を押し付けられているというケースは、けして少なくないように思う。こうした香図は、裁量労働制にも通じる。「働き方改革」の欺瞞を広く知らせ、法案を廃案に追い込んでいきたい。

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