06年1月3日未明、横須賀を「母港」としている米空母の乗組員の米兵が佐藤好重さんを殺害するという強盗殺人事件が発生。妻を殺害された山崎正則さんらは、加害者米兵はもちろん、米軍と日本政府の責任を追及する国賠訴訟に立ち上がりました。
11月17日、この事件の最終解決調印式が行われ、米政府が支払う見舞金受け取りの示談書、SACO見舞金(米国政府による支払いが裁判所の確定判決による額に満たない事例が生じた場合に日本政府がその差額を支払う)申請書に署名しました。
米が支払うのは4割のみ
民事裁判では約6500万円の賠償を元米兵に命じていますが、米政府が支払う見舞金は約2800万円にとどまり、差額は日本政府が支払う形になります。
米側は、元米兵を「永久に免責する」ことを示談の条件とし、山崎さんはこの条件を削除するよう強く求めて交渉してきました。山崎さんは「1円も弁済しない米兵の免責は納得できないが、米側に今日まで引き延ばされた。苦渋の選択だ」と話しました。
報告集会に130人
調印式・記者会見ののち、「山崎裁判勝利報告集会」が開催され、130人が参加しました。
集会では、今までの闘いで勝ちとった成果として、①山崎さんの闘い以降「泣き寝入りしない」が合言葉になり、沖縄との連帯を深めながら、闘いに立ち上がる人が増えてきたこと、②勤務時間外の事件についても米軍の監督責任が問われるという民事上の責任を明らかにした判決を得たこと、③裁判に参加しなかった相続人にもSACO見舞金が支払われること、④示談当事者ではないにも関わらず、事故または事件による損害金を支払う条件として示談書に記載されていた「日本政府の免責」を国会質問や防衛省交渉などによって削除させ、米兵に対する免責削除の足掛かりを得たこと、などが報告、確認されました。
「根絶のために闘う」
残された課題として、国は、確定判決に明記されている遅延損害金を支払わないとしており、これを改善させることが求められています。また、米兵の免責も問題です。
報告集会の最後に山崎さんは「この裁判は今日で一区切りとなるが、米兵犯罪は繰り返されている。今後とも米兵犯罪を根絶するためたたかいを続けていく、みんなと一緒にがんばる」と話しました。