現代版治安維持法ともいわれる「共謀罪」法案について、十分な審議や国民への納得ある説明もないまま、衆議院の法務委員会と本会議で自民・公明・維新が採決を強行しました。
この間、神奈川県内でも全県的に廃案を求める宣伝がとりくまれ、国会前や全国でも同様の行動が数多くとりくまれています。マスコミの世論調査でも「今国会での成立は必要ない」、「政府の説明は不十分」が6~8割となっており、こうした世論や危惧をまったく無視する、まさに暴走政治です。
内心を罰する
短い国会審議のなかでも共謀罪法案のでたらめさが浮き彫りになっています。同法案は277もの犯罪について、その犯罪を行うことを「同意」しただけで罪に問うもの。具体的に危険な行為があってはじめて処罰するという近代刑事法の大原則を、根本から覆すものです。「同意」を罰するとは、内心を処罰することです。法務大臣は必死に否定しようとしましたが、結局ウソであることが明らかになっています。
この危険性は国連特別報告者からも書簡によって指摘されました。ところが政府は、「不適切だ」と具体的反論もないまま一蹴。共謀罪の必要性を「国際条約を締結し、国際連携を進める」と説明していたこともウソであることもはっきりしました。
政府にとって都合の悪いものは、何の根拠も示さず否定する。森友学園問題に続く大問題の加計学園問題でも「文書は存在しない」と隠ぺいする安倍政権の体質そのものを表しています。
できることは何でも
「一般の人は関係ない」とも政府は説明していましたが、これも捜査当局の判断であり、誰もがある日突然「組織的犯罪集団」とされ、罪に問われる可能性があります。
結局、共謀罪法案は戦争法や秘密保護法、盗聴法などと一体に日本を「戦争する国」にするために、反対する市民や団体を弾圧する目的であることがはっきりしてきました。
憲法や民主主義を蔑ろにして、モノ言えぬ社会・戦争国家をつくろうとする企みを許すわけにはいきません。国会審議の場は参議院に移りますが、最後の勝負を決めるのは国民の世論です。共謀罪を廃案に追い込むために、職場・地域での学習や、署名・宣伝、国会議員へのFAX要請など、できることは何でもやりましょう。