一般財団法人消防試験研究センター(所管・総務省消防庁、本部・東京都千代田区霞が関、以下「センター」)における「非常勤職員の雇止め」は、一人の非常勤職員が声をあげて画期的な解決となりました。
この非常勤職員の女性は、自治体の非常勤職員として働いていましたが、3年間契約ということから、安定した働き方を望んでいました。センターの方から、「前任者は14年間勤め定年退職。契約は1年更新となっているが文面上のこと。定年まで長く働ける」と説明を受け、2013年4月からセンターの神奈川県支部で働き始めました。前任者の仕事を引き継ぎ、正規職員と同じ仕事をこなし、会議にも出席し、毎年の雇用契約更新の面談では、「長く勤めて欲しい」と言われ続けてきました。ところが、2016年1月15日付けの「非常勤職員の雇用について」(センター総務部長から支部長あて)で、「無期雇用契約へ移行することがないよう、1年契約、最大で更新は3回、すなわち雇用期間は最長2017年3月末までで雇用を終了するよう所要の措置を講じていただきたい」との通知が発出されました。2016年4月の契約更新書には、2017年3月までの雇用期間で「更新する場合もある」と記載されていましたが、2016年7月25日に「2017年3月末で雇止め」の予告が通告されました。8月に神奈川労連・労働相談センターを通じて、神奈川自治労連公務公共一般に加入し、雇止め撤回を求めて運動を始めました。しかし、センター側は団体交渉でも雇止めは撤回せず、「検討の余地なし」としたため、神奈川県労働委員会へ救済申立と実効確保の措置申立を行い、労働局への申告や厚労省への要請、宣伝活動などをとりくみ雇止めの撤回を求めてきました。
2月22日、本人のもとに「雇止めのお知らせ」が届きましたが、その内容は「雇用契約を更新する予定はありません」の一文に、厚生労働省告示第357号を持ち出し雇止めの正当性を示すなどまったく誠意のない対応でした。
労働契約法第18条の「5年で無期雇用へ転換」を免れることを目的とした悪質な雇止めです。
東京労働局は、労働者の申し立てを受けて、センター理事長に対し指導文書を交付しました。①労働契約法違反が否定できないため雇止めの再検討、②「無期転換ルール」を免れる目的でのクーリングオフ期間の運用を禁ずる、という労働者の主張が全面的に認められるものです。この指導文書は、「5年で無期雇用へ転換」に反する雇止めが横行するもとで、労働者の力となる画期的な内容です。
3月8日の神奈川県労働委員会第1回調査期日で、センターは「雇止めの撤回」を表明し、労働委員会員の立会いの下「協定書」を取り交わしました。
神奈川労連・労働相談センターでは、大企業の日立製作所の「リストラ・退職強要」や、ヤマト運輸の長時間労働・賃金不払い残業などの相談を受け解決しています。いずれも、当事者が立ち上がり、声をあげたことからの成果です。
泣き寝入りをしないで、声をあげましょう。神奈川労連・労働相談センターは、みなさんの相談に応じています。
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