一般財団法人である消防試験研究センターに、非常勤として働く笠原榮子さんは1年契約の更新を3回重ねてきました。しかし、センターは今年3月末をもって笠原さんを「雇い止め」する予告を行いました。
労働契約法の改正により有期雇用で5年超え更新すると無期雇用に転換するルールが定められましたが、無期雇用職員を作りたくないので「雇い止めする」とセンターは笠原さんに説明しました。
「雇い止め」は違法
そもそも法改正の趣旨は「有期雇用で働く労働者が安心して働き続けられる社会を実現させるためのもの」であり、改正契約法を理由とする「雇い止め」は法の趣旨を潜脱する行為であり許されません。
さらに、笠原さんは、「1年雇用だが、長期に勤めてくれる人を求めている。定年まで勤められる」と言われ就職を決意しました。前任者も同僚も10年以上勤務しています。
このような場合は「期待権」が生じ、契約法19条では「期待権」を打ち消すだけの客観的に合理的な理由がなければ「雇止め」は無効としています。
労働局が文書指導
センターは、雇用契約に期間は1年と書いてあるから「期待権」は発生しないと強弁します。そもそも有期雇用はその契約書に期限が書いてあるのが当たり前で、その前提の上で19条に該当しないかどうか問われるものです。
厚生労働省の担当官は、「19条に該当する」と見解を明らかにし、東京労働局は「この件はあまりにも酷いので、めったにやらないことだが文書による指導を行う」と述べています。
労働委員会に申立
こんな無法は許せないと、笠原さんは神奈川自治労連に加盟して、団体交渉などを行ってきました。センターがまったく要求をとりあわないため、1月20日、神奈川県労働委員会に不当労働行為救済と実効確保の措置勧告を求めて申し立てを行い、3月に第1回期日が開かれます。
「来年4月から無期転換がスタートします。この1年間で有期雇用労働者の『雇止め』が多発する可能性があります。そんなことを許さないためにも、この闘いは負けるわけにはいきません」と笠原さんは決意を語ります。