「こんなこと相談してもいいですか」と言いにくそうに聞いてきた女性からの電話はとても深刻な内容でした。
10か月の有期雇用契約を結び、3週間働いたところで社長から「あなたにはこの仕事は向いてないみたいだから明日から来なくていいです」と言われ、納得できず「急に言われても困る。契約があるのだから働かせてもらいたい。それができないなら何か月分か給料を出してほしい。生活がある」と言ったそうです。
社長からは「少し考える」と返事があっただけでなんの連絡もなく、解雇理由証明書も送られてきません。納得いかない相談者は労働局のあっせんなどの行動をしていました。
ただ、最終的にどんな方法で訴えるかを悩んでいました。「もう来なくていいです=解雇」のひとことが相談者のこころに大きな穴を開けてしまい、その穴を埋めるには会社に解雇は不当だと訴えること、金銭解決することしかないと感じました。
私は、労働審判制度の説明をして無料弁護士相談の電話番号を知らせました。
有期雇用契約は使用者と労働者双方が合意して契約を結ぶものです。使用者は、この期間の雇用を継続する責任があります。契約の途中で契約解除する場合、やむをえない事由がなく、使用者に過失があれば損害賠償の責任があります(民法第628条)。
解雇は働こうという気力のある労働者を傷つけます。人権の問題です。やはり経営者と対等に話しができる労働組合が大きくなることが必要だと実感しました。
トピックス 労働相談コラム
2025年3月1日