8月に国家公務員の賃金や労働条件を改定する人事院の勧告が出されました。地方公務員の賃金・労働条件もこの勧告を参考に、労使交渉などで決められていきますが、都道府県や政令市には独自の人事委員会があり、首長や議会に勧告が出されます。
県春闘共闘と公務共闘、神奈川自治労連の連名で、神奈川県と横浜・川崎・相模原の各人事委員会に、賃上げや労働条件の改善を求めて、9月18日・19日に要請行動を行いました。
全世代の賃上げを
要請のポイントの一つは、「すべての職員の生活改善につなげる」ことです。
人事院勧告では、民間との労働者確保競争も意識して、高卒・大卒の初任給の大幅な引き上げが示されました。一方で、中高年層の労働者に対しては、物価上昇に及ばない賃上げとなることが示されています。
要請団からは「全職員が生活改善できる賃上げを行うべき」、「お金がもっとも必要なのは40~50代。生計費に基づいた引き上げを」などと要請しました。
同様に、60歳超の再任用職員の賃金・労働条件についても、知識や経験の継承といった役割にふさわしいものに改善するよう求めました。
差別的処遇の改善を
2つ目は、非常勤職員の雇用の安定と均等待遇の実現です。とりわけ、「病気休暇について正規は有休なのに、非常勤が無給なのは差別的取り扱い」と指摘し、改善を求めました。
3点目は、長時間過重労働の是正です。自然災害やコロナ禍などへの対応では、無制限ともいえるような長時間労働が公務労働者に強要されている実態があります。
人事委員会は、労働基準監督機関としての役割もあることから、人員増をはじめ超過勤務縮減の実効ある方策や勤務間インターバルの導入などを求めました。
追随しないよう
4つ目は、成果主義的な賃金のあり方を拡大しないことです。人事院勧告では、「成果」によって一時金などで大きな格差がつけられる方向性が示されています。
参加者からは「民間でもジョブ型など成果主義が強められる傾向があるが、民間企業のデータ改ざん・隠ぺいなどの原因になっているのではないか。不正があってはならない公務にふさわしくない」と指摘し、人事院に追随することがないよう求めました。
各人事委員会からは、10月に予定される勧告にむけた議論に反映する旨の回答がありました。