今年の最低賃金額の改定について議論していた中央最低賃金審議会は、7月24日に「目安」を示しました。A~Cの3つのランクがありますが、いずれも「50円」という目安でした。春闘で一定の回答を引き出してきたことなども反映した額であり、現在の制度では過去最高の引き上げ額となります。
格差は温存
最賃引き上げや春闘を闘ってきた成果として確信にするとともに、神奈川労連が求めている「今すぐ1500円以上」には遠く及んでいません。また、物価上昇を大きく上回り、生活改善できる引き上げという点でも不十分です。
さらに、全労連や神奈川労連は全国一律制度の確立をめざし、都道府県でバラバラの最賃額格差の縮小を求めていますが、今回の目安には反映されておらず問題です。
8月上旬には神奈川の最賃改定額が答申される予定ですが、引き続き「今すぐ1500円以上」を求めてとりくみを進めます。
意見書を提出
最賃引き上げをめざす共同組織の「FIGHT FOR1500実行委員会」では、7月19日に労働局前の集会と意見書の提出、記者会見を行いました。
集会では、「最賃近傍で働く労働者の生活は本当に大変になっている。大幅な引き上げを」、「物価が上昇するなかで、年1回だけでなく機動的に複数回の引き上げを求めていく」など、意見書を提出する各組織から発言がありました。
労働局に対しては、意見書とともに職場の仲間などから集めた約3千筆の署名も提出しました。
価格転嫁が重要
神奈川労連は、独自に神奈川地方最低賃金審議会の委員や選出している団体との懇談をとりくみました。懇談したのは、弁護士会、公認会計士協会、経営者協会、中小企業経営者協会、中小企業団体中央会です。
懇談の特徴は、最賃引き上げについて「社会的な流れ」など、上げることは経営者団体も賛同しています。労働者の確保などのために、中小企業においても賃上げが行われていることなども話され、「最賃引き上げが大きな困難をもたらす事業所はそれほど多くない」との話しもありました。
同時に、最賃に対応し賃金を引き上げていくためにも、価格転嫁・公正取引が必要であることも共通して話されました。実際の商取引の例なども出され、商慣行の見直しを含めて必要であるとの話しがありました。
地域間格差についてはいくつかの意見がありましたが、「格差があると労働者が流れてしまい経営にも悪影響」との意見は特徴的でした。