保険証を残せ
県社保協は、6月15日に総会を開催し、新年度の活動方針と予算、役員体制を確立しました。オンラインを含め、26団体45人が参加しました。
根本事務局長は、活動方針の重点として、以下の4つを提起しました。①「現行の健康保険証を残せ」の運動に全力、②「人権としての社会保障」めざす学習運動、③国への署名運動、自治体との交渉・懇談、④地域社保協の強化・拡大。
現状や運動を交流
討論は9人が発言しました。
「群馬県桐生市のひどい生活保護議行政を是正させるとりくみを進めている。生存権裁判の控訴審がはじまった」(生健会)、「加齢難聴の補聴器購入助成の実現にむけ、学習会やアンケート活動を行い、平塚市に要望していく」(平塚社保協)、「社会保険の滞納では年金事務所の対応が厳しく、交渉を進めている」(神商連)、「訪問介護の報酬引き下げで介護事業所が厳しい状態。ヘルパー・ケアマネ不足も深刻」(民医連)、「健康保険法の省令で保険証の発行が明文化されているが、削除を閣議決定しパブコメを募集している。ぜひ意見を出して」(保険医協会)などの発言がありました。
根本事務局長はまとめで、「大軍拡・大増税・社会保障削減政策に、地域と職場から実態と要求にもとづいた運動で対抗していこう。自治体とも連携して、『人権としての社会保障確立』にむけた運動を進めよう」と呼びかけました。
貧困と消費税
総会Ⅱ部では、伊藤周平・鹿児島大学教授が、「人権としての社会保障確立へ、高齢社会での運動と展望」と題して講演。高齢社会の現状として、「高齢者の貧困率は、一般世帯に比べて10%以上も高く、女性22・8%、男性16・4%で、OECD(経済開発協力機構)諸国平均の女性15・1%、男性11・55%を大きく上回っている」と指摘。
消費税について、「貧困や格差を拡大する特徴をもつ不公平税制。貧困や格差拡大に対処するため社会保障支出の増大が不可避ななか、社会保障の財源を消費税に求めると増税が続いていく。増税できなければ、社会保障を削減し、貧困と格差を放置するかしかない。消費税は、社会保障財源としてもっともふさわしくない」と厳しく批判しました。
保険や財源のあり方
運動の方向性についても提起。医療保険について、「現在の国民健康保険、被用者保険の並列状態を維持しつつ、国民健康保険への公費投入を増やしていくべき。将来的には、全国民を対象とする医療保険制度を構築し、低所得者については保険料を免除し、10割給付の医療保障(医療費の自己負担なし)を実現すべき」と指摘。
財源などについて、「格差と貧困を解消するための具体的な社会保障の拡充が必要。財源確保として、所得税・法人税の累進性の強化、富裕層の金融所得や資産に対する課税強化、消費税の減税といった具体的な税制改革のスケジュール工程表を作成し、訴え理解を広げることが大事。実現のため、自民党に代わりうる政党やそれを支える市民の運動がいま求められている」と訴えました。