4月1日から労働条件明示ルールが変わりました。前進と考えられますが、それを利用した不利益も想定されるので警戒が必要です。改正点と相談事例を紹介します。
第1は(全労働者が対象)、労働契約締結と有期雇用契約の更新ごとに、雇い入れ直後の就業場所・業務の内容に加えて、将来の配置転換などによって変わり得る就業場所・業務の変更の範囲についての明示です。
〈相談事例〉労働契約時に変更の範囲として明示された業務がなくなり退職を強要された。
〈回答例〉整理解雇4要件を満たさなければ解雇は認めらないので、「わかりました」と言わないこと。雇用継続を要求するか、退職するなら生活保障のために金銭解決を要求する。
第2は(以下は有期契約労働者が対象)、有期労働契約の締結と契約更新ごとに、更新上限の有無と内容の明示です。
〈相談事例〉1年更新の契約社員、4回目の更新を前に雇用主から「更新は4回、5年目で終了」と言われた。最初の契約の時からずっと働いてほしいといわれており、経営も順調なので5回目の更新も期待していた。
〈回答例〉無期転換逃れ。反復して契約更新され、5回目も更新されるという期待権があり労働契約法第19条の「雇止め法理」に該当するので、客観的に合理的で社会通念上相当と認められる理由がなければ雇止めはできない。
第3は、5年を超えて「無期転換申込権」が発生する更新のタイミングごとに、無期転換を申し込むことができる旨の明示。
第4は、「無期転換申込権」が発生する更新のタイミングごとに、無期転換後の労働条件の明示です。
今回、明示事項が追加されたことは前進ですが、労働者の不利益に利用される場合も想定されるので困った時は労働相談センターへ相談してください。