長時間労働による過労負担等でうつ病を発症し、自殺した社員の遺族が企業の安全配慮義務違反等で裁判をおこし、最高裁判決で企業の安全配慮責任が厳しく問われたケースが判例にあります。先日、同じような事例の相談がありました。
相談のきっかけは亡くなった方の叔母さんからの電話でした。企業での働かされ方に問題がありうつ病の発症は、労働災害の可能性があるので被災者の奥さんと一緒に相談センターの事務所で詳しく事情を聞くことになりました。
こうした労災の相談の場合は、「いの健センター」(働くもののいのちと健康を守る神奈川センター)の方と一緒に解決方法を考えていきます。企業の多くはその責任を認めようとはせずに、非協力的です。労災の被災者や過労死、過労自殺の遺族が労災請求するのは大変なことです。「いの健センター」は、被災者の立場にたって労災申請の支援を行なう活動をしています。労災問題では豊富な事例の蓄積があるので心強い支援を受けることができるのです。
相談のケースは、仕事を代わってもらうことができない管理職です。夜勤の後も引き続き昼過ぎまで仕事をする状況が頻繁にあり、長時間労働で疲労や心理的負荷が過度に蓄積して心身の健康を損ないうつ病を発症させたのではないかと思われます。まずは労災認定を勝ち取るために行動を起こしてはどうかということになりました。労災申請の時効は2年です。時間はあるので情報をできるだけ多く集めるようにとの「いの健センター」の方の助言と励ましで、遺族も決意を固めた様子でした。労働環境、勤務記録の実態を正確に把握することが重要で、同僚への聞き取り、主治医の意見書、パソコンのデータ、被災者の手帳、日記や年賀状なども証拠資料となります。次回は収集した資料をもとに申請手続きを検討することになりました。
労災申請は遺族にとって厳しく辛い作業ですが頑張ってほしいと思いました。