違法である「白タク(無認可タクシー)」を解禁する「ライドシェア㊟」の導入が、神奈川で狙われています。菅元首相などが言及したことを受け、黒岩県知事が「神奈川版ライドシェア」なるものを打ち出し、8月に関係部署に対して検討を指示しました。
三浦市での導入を狙い、10月20日には三浦市のタクシー会社や県タクシー協会、県、国、市の関係者らが参加する検討会が開催されています。
上の写真)県庁にむけて抗議の宣伝
労働組合の代表を
ライドシェアの導入に反対し、自交総連は県に対して撤回を求める要請と、抗議の県庁宣伝を10月10日に実施し、多くのタクシードライバーの組合員が結集しました。
要請では、自交総連の庭和田・中央委員長からの「県がやろうとしていることは、現在の法律で認められた『自家用有償旅客運送』でできるものではないか。なぜ『ライドシェア』にこだわるのか」問いに対し、県の担当者は明確に答えることはできず「様々な方向性について検討していく」と述べるにとどまりました。
神奈川労連の山田事務局長からは、検討会に労働組合の代表を加えること、少なくとも意見を反映することを要請。あわせて検討会がマスコミにしか公開されないことに対し、「県民にきちんと公開すべき」と強く求めました。
性犯罪が多発
県庁前での抗議集会では、自交総連神奈川の冨松委員長が「米国ではライドシェアによってタクシー会社がつぶれ、障がい者が乗車を拒否される事態も起こっている」と告発し撤回を迫りました。
また、弁護士や日本共産党の県会議員も応援に駆けつけ、雇用や利用者の安全性確保などの観点から、大きな問題があることを訴えました。
ライドシェアが導入された国では、タクシー労働者の雇用が奪われたり、賃金が大幅に引き下がる事態が起きています。また、性犯罪も多発しており、安全な公共交通の確立にも反するものです。
20日に開催された検討会では、事業者から「需要がないなかでビジネスとして成り立つのか」と疑問が出され、タクシー会社に責任を押しつけるような案に難色が示されたと報道されています。導入理由の基本的前提すら、疑わしいことが明かになっています。
神奈川労連は、自交総連などとともに導入を許さないとりくみを強めていきます。
㊟:海外で導入されているライドシェアは、事業主体自らは運送せず、スマホアプリなど自らが運営するプラットフォームにおいて一般ドライバーと乗客を仲介し、一般ドライバーが自家用車を用いて有償の運送サービスを提供するもの。米国のUber(ウーバー)やLyft(リフト)などがある。