通常国会で、今の健康保険証を廃止してマイナンバーカード(以降はマイナカード)に統一する関連法案が、強行成立しました。しかし、マイナカードやマイナ保険証をめぐるトラブルが次々と発覚。世論調査では、健康保険証の廃止に「反対」が「賛成」を大きく上回っています。
犯罪に使われる
そもそもマイナンバー(共通番号)制度は、憲法13条に基づくプライバシー権などを侵害する違憲立法として、神奈川労連は制度に反対しています。現在も、全国の裁判所で違憲訴訟が行われています。
神奈川の裁判では、横浜地裁で「形式上情報漏えい防止のための制度的保護措置を備えている」ことなどを理由に、原告らの主張を退ける不当な判決が出されています。
しかし実際には、数多くの漏えい事件が起こっています。「職員が624人分の特定個人情報を含むエクセルデータを自宅のパソコンに不正送信し、大量に漏えい」、「民間企業への不正アクセスにより、個人番号カード等の画像データが流出」などです。
そして、不正取得した他人名義のマイナカードを使ってなりすまし、給付金を詐取するなど、犯罪に使われる実例が起きています。
トラブルでは、「マイナポイントを他人に誤って付与」、「住民票の写しなどのコンビニ交付で別人の証明書を発行」などが頻発する状況です。
医療が受けられない
マイナ保険証にも多くの問題があります。マイナカードの取得は任意ですが、保険証となれば取得せざるを得ず、実質的に強制するものです。
一部の医療機関では、システムの運用が始まっています。開業医などが加入する全国保険医団体連合会の調査では、運用を開始した医療機関の4割超で不具合が発生しています。内容は、「有効な保険証が無効と表示」、「カードリーダーの不具合」などです。
マイナ保険証を確認できず、10割の医療費を一旦支払うケースも起きています。現在は、保険証があるのでそれを確認し、保険診療を行えるケースもありますが、保険証が廃止されトラブルが続けば、保険診療ができない事態になりかねません。
河野デジタル大臣などは、メリットを吹聴していますが、その根拠は国会審議などで総崩れしています。逆に、マイナ保険証に別人の情報が誤登録されていた件数は7千件以上確認されており、投薬や治療を誤る医療事故の危険性すらあります。
政府の狙いは?
さらに深刻なのは、マイナカードの申請や使用、情報管理が難しい、重度障害者や認知症の方などが置き去りにされていることです。
政府は、多額の税金を使ったマイナポイントなどで普及に躍起ですが、国民にとってのメリットや必要性はほとんどありません。
なぜ政府は普及を強行するのか。情報を一括管理し、医療や介護の負担増や増税につなげていく狙いが透けて見えます。また、集めた情報を大企業に提供し、儲けをあげさせることも狙っています。
保険証の廃止にストップをかけ、マイナンバー制度の中止・廃止をめざしましょう。