同じ会社に複数組合がある場合、使用者は各労働組合に対して中立的態度を保持し、各組合の団結権を平等に尊重する義務がある。多数派かそうでないか、あるいは運動方針等が使用者と協調的かそうでないかによって差別すると中立保持義務・平等取扱い義務に違反し、組合間差別の不当労働行為にあたる。
その典型例が、12年目を迎えるJAL不当解雇争議であった。会社は、乗員組合(JFU)とキャビンクルーユニオン(CCU)には、6月23日から丁寧に解決案(雇用によらない2年間の業務委託)を説明し、2労組は業務委託提案を受け入れて、争議終結に合意し協定に調印した。
一方、JAL被解雇者労働組合(JHU)には、CCUが7月13日に会社と「整理解雇問題解決に関する合意書」と「覚書」を締結した後の、7月14日の事務折衝で業務委託に関する解決案を説明している。
会社が3組合に同時並行して解決案の提示をしなかったのは、同時に提示するとJHUから正しく厳しい指摘を受け、それが公になりJFU及びCCUのなかでJHUの意見に賛同する被解雇者が出ることを恐れたからである。
これは、JHUの組合活動による組織拡大を妨害しており、労組法7条3号の支配介入の不当労働行為に該当する。
JHUは11月10日に東京都労働委員会に不当労働行為救済命令の申立てを行い、JAL争議は新たなステージに入った。解雇自由な社会にさせないためにも早期全面解決が求めらる。