かながわ労働センターが毎年作成している「労働手帳」の最新版を入手し、昨年版と比較してみると、かなり力が入っている印象を受けました。
注目点1。当然とはいえ、法律や制度の改正が記載されていること。昨年版と比較しながら見ると、改正内容などが頭の中で整理しやすく、重宝に感じました。パート労働者の社会保険の適用拡大や、65歳以上の者に対する雇用保険給付の改正など、ちょっと見逃しそうな事項についても丁寧にカバーしてくれていて、相談の実務の上でも使い勝手が良くなっています。また、法律や制度改正以外の記事でも、勤務間インターバル制度についての記事や退職日と社会保険料の関係の記事なども新設されています。
注目点2。ハラスメントについての相談が多いと思われ、関連ページの充実がはかられています。とりわけ社外に関わるセクシャルハラスメントやカスタマーハラスメントの記事は目につきましたが、それ以上に大事なことは「事業主にはハラスメント防止のための措置義務があります」という項目を新たに目出ししたことでしょう。結局は事業主や管理者が毅然とした対応をとって、職場の秩序を回復しない限り、ハラスメントを止めることはできないのですから。
注目点3。最も評価すべきは、上の2点にも見られるとおり、私たちと同じように実際に相談にあたっている人たちの経験を反映した作りになっていること。それゆえ、全体をざっくり拾い読みするだけでも、自分たちの相談内容を再点検し、アップデイトしていくことに役立つと感じました。
ともに労働相談に携わる仲間として、たとえ組織が違ってもそれぞれに苦慮しながら対応している姿が浮かび上がってくるような気がして、実は本書に一番、励まされたのはその点だったのかもしれません。