コロナ禍7波の夏、高校生や学生は不安な就職活動の真っ最中ですが、第1波の頃より減少したとはいえ、統計に表れない「サイレント内定取り消し」が最近の電話相談からも伺えます。
形ばかりの研修をさせて「あなたはこの仕事に向かない」などと言って仕事を教えない、質問にも答えてもらえず「心が折れた」と自分から辞職するように追い込まれる。これは事実上の退職強要、パワハラであり違法です。「諦めないで交渉しましょう」と提案しますが、「ハイ!」という返事は稀です。ブラック職場で疲れ果てる娘(息子)に代わって電話してくる母親、ジックリ話を聞いて、「娘さんから電話するように言ってください」と言って切りますが、本人から電話はありません。
相談員の会議で、「本人に闘う意思がないとねえ」という話になりますが、いつも悩めるところです。
「レジリエンス」という言葉を聞きます。働く職場での精神的復元力、抵抗力という意味で使われるようです。「学校でちゃんと働くルールを教えて」と言われて久しいですが、授業でルールを理解すれば就職してすぐ行動できるかというと、そうはいかないということでしょう。低い若者の投票率やジェンダー平等度などとも共通するのは、「レジリエンス」の根っこ、土台をどう作るかの問題かと思います。
侵略戦争を行ったドイツと日本。ナチスの反省から「ボステルバッハ合意」を柱に国を挙げて主権者教育を実践しているドイツと、「戦後レジームからの脱却」を叫んで憲法を敵視し家父長制を克服できない日本との違いを思わざるを得ません。が、山形県遊佐町の少年議会の実践のように、憲法を実践する若者が育ち始めていることに希望を感じます。職場でも日本国憲法が希望なのです。