中央最賃審議会の「目安」を受け、神奈川では最低賃金を31円引上げ「時間額1071円」とすることが決まりました。
目安は「30円」「31円」
今年の中央最低賃金審議会では、例年なら「目安」を決定する4回目の小委員会でも結論を持ち越す異例な状況になりました。
結局、8月2日にA・Bランク「31円」、C・Dランク「30円」引き上げの目安を答申しました。
異議を申し出
この目安を受けて、各地方の審議会で議論が行われ、神奈川では8月5日に目安どおりの「31円」引き上げて「時間額1071円」にすることが答申されました。この答申については採決が行われ、使用者側委員が全員反対し、労働者側と公益委員が全員賛成して決められました。
神奈川労連は、全国一律での「時間額1500円以上」をめざしている立場から異議申し出を行い、構成組織からも異議を提出しましたが、8月23日の審議会で、異議は認められず答申どおりの最賃額を10月1日から発効することになりました。
1380人が行動参加
神奈川労連では、上部組織の異なる労働組合や弁護士団体などとも共同を広げ、「Fight for 1500実行委員会」を結成し、相談しながら最賃引き上げの運動をとりくんできました。
8月3日の夕方には、桜木町駅の市庁舎側出口で、ビッグサイズの横断幕を掲げて宣伝を実施。20人以上が参加して市民にアピールしました。
ユーコープ労組では、8月3日に職場や自宅で、「最賃くんステッカー」を身につけアピールする行動をとりくみ、1380人の組合員が参加しました。
最賃法に反する
審議会の答申に対して、異議申し出を行った理由はいくつかあります。1つは、最低賃金額が生計費を充足しておらず、生存権を保障していないことです。
最低賃金法第1条「目的」には、「労働者の生活の安定」が明記され、9条では「労働者の生計費」を考慮することが定められています。
答申の「1071円」では、一般労働者と同程度の労働時間である年間2000時間働いたとしても、年収は214万円強であり、とても生活の安定ははかれず生計費も充足しません。
最低賃金法に反し、もととなる憲法25条「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」も保障していない水準です。
諸外国に比べ低水準
2点目は、国際水準を大きく下回っていることです。右表のとおり、諸外国では一定の引き上げが実行され、さらに差が広がる状況です。
諸外国とは賃金だけでなく様々な制度や物価水準などに違いがありますが、それでも日本の賃金・最低賃金の水準は低すぎます。日本の経済力に相応しい最低賃金に引き上げ、労働者全体の賃上げを実現すべきです。