神奈川労連

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労働相談コラム

2022年5月12日

ハラスメントを防止する義務

 「もう済んだことなんですが…課長のハラスメントに苦しめられ、耐えきれずに部長に相談したら、部長は課長と自分の3人を会議室に呼んで話し合いを設けてくれたんですが、部長はしばらくすると、2人で話し合って解決し、報告するようにと言い残して姿を消してしまったんです」。「そりゃ酷い!」。「その後、課長は異動になったけど、部長はそのまま、もし今後、なにかあったらどうすれば良いのか…」とその方は仰るのです。あんまりな話に驚いてしまいましたが、現実には、そうした酷い対応、あるいは対応逃れが頻発しているようです。

 一方、先月の当欄でも言及した「労働施策の総合的な推進並びに労働 者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律」第30条の2では、事業主に対して、パワハラによって「労働者の就業環境が害される」ことがないように、「雇用管理上必要な措置」を講ずるように義務づけており、今年4月からは中小企業にも適用されるようになりました。

 さらに、事業主がパワハラ防止義務を履行しない(パワハラが起きている時点で履行義務違反は明らかです)場合には、都道府県労働局長は「必要な助言、指導又は勧告をすることができる」(第30条の5)とした上で、「勧告を受けた者がこれに従わなかったときは、その旨を公表」(第33条)、つまり報道発表することができると定めているのです。

 現実には、賢明な事業主なら、勧告や公表に至る前に、冒頭のような部長に必要な指導と譴責を行うでしょうが、問題は多くの企業においてこうした事業主の義務が十分に知られていないことです。

 ぜひ1人でも多くの方にこの定めを知って、利用していただきたいと思い紹介しました。

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