労働相談で一番難しいのは、メンタル不全の方からの相談だ。私が受けた2件の相談もメンタル不全と思われる方からだった。Aさんは電話での話し方と本人の話しの内容から、かなり重いうつ病と感じた。そのため、精神科系の医者にかかることを勧めた。
Bさんは、従業員60人ほどの製造会社に勤務し、試用期間中に職場でトラブルになり、仕事を与えられない状態が続き、上司から試用期間終了で解雇になりそうな話しをされたという。パワハラも受け、会社には行きたくないと話し、職場の同僚とも打ち解けず、孤立した状態だという。
この相談者もメンタル不全の状態。1か月前から電話があり、その後も頻繁に相談を受けている。
もし「解雇通告」を受けた場合、解雇予告手当を求めること、解雇理由書を求めること、本人から辞職願(届)を絶対書かないこと、パワハラの事実経過をまとめたリストを作成することを伝えた。試用期間中の解雇は、明らかに不合理でない限り、解雇撤回は難しい。会社側は職場での出来事も、でっち上げることもできる。電話相談を受ける方も、解決できないやり場のない思いをすることがある。
昨年6月から「職場におけるハラスメント防止措置が事業主の義務化」(大企業)となり、①優越的な関係を背景とした言動、②業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの、③労働者の就業環境が害されるもの、この3要素を満たすものが職場における「ハラスメント」になっていますが、相談者の心身に配慮し、丁寧に聞き取り、事実確認していくことが求められています。