緊急事態解除後も、電機大企業では出社率が3割程度となっています。NECの調査では、グループ全体の出社率は24%で、「基本的に出社しない」という労働者は59%になっています。さらに日立では、「コロナ収束後にもテレワークが前提になる」とし、「働き方を変えていく契機」としています。
組合員の実態調査
電機情報ユニオンは、組合員の「実態調査」を行いました。「困ったこと」では、①テレワークで働く環境(作業机がない、プリンタが使えない、モニタが小さく非能率)、②健康面(生活のリズムが狂う、運動不足)、③自己負担(電気代、通信費)、④家族との関係(妻のストレス)などがあげられています。
「改善して欲しい点」として、①自己負担への補助、②サテライトオフィスの確保、③モニタやスマホの支給などがあります。また「不安に感じている点」として、「テレワークの成果がきちんと認められるのか」、「他の人が何をやっているのか分からないので疎外感がある」などの声が寄せられています。
厚労省ガイドライン
コロナ危機を口実に、充分な労使協議や事前教育もなしにテレワークが導入され、労働環境や経済的負担が問題になっています。
ユニオンでは、テレワークに関する厚労省のガイドラインを守るよう求めています。ガイドラインでは、労働時間の適正把握として、「パソコンの使用時間などの客観的な記録によるべきこと」や、業績評価では、「労働者が懸念を抱かないよう評価制度を明確にすること」を提示しており、通信費等の費用負担でも、労使での話し合いを求めています。
要求実現の成果も
NECでは休業補償が、当初60%とされました。これは、電機他社水準に較べて極めて低いものでした。ユニオンの宣伝や職場の声もあり、70%へと変更されました。
製造現場を抱える職場では、バスが休日ダイヤとなったため、バス車内での3密が問題となりました。ユニオンでは、会社に対して時差出勤を認めさせ、地元議員の協力によりダイヤを見直させるなどの成果をあげました。
またNECでは当初、テレワークの労働時間が「自己申告制」となっていました。厚労省のガイドラインに基づくよう求め、8月から「パソコンのON(始業)/OFF(終業)」の管理を開始しました。
在宅勤務費用を補填する企業が広がっています。電機でも、富士通(5千円)・日立(3千円)が全従業員へ支給されています。しかし、NECは「人により状況が違う」として一律支給を拒否しています。通勤手当の廃止により、会社は年約81億円の費用削減になっています。従業員に手当て5千円を支給しても、その56%にしかなりません。
他にも残業申請抑制による人件費削減、オフィスフロアの縮小を含めると膨大な費用削減になっています。ユニオンでは、「テレワークで得た利益を労働者に還元せよ」と要求しています。