建設現場で働いていた多くの労働者・一人親方などは、何の危険性も知らされずにアスベスト含有建材などを使用し暴露したことによって、健康被害に苦しみ命すら奪われています。
国と建材メーカーに対し補償を求め、裁判闘争に立ちあがったのが建設アスベスト訴訟です。
12年余の裁判
上告されていた神奈川1陣訴訟について10月22日、最高裁で口頭弁論が開かれ、原告、被告国と建材メーカー6社が意見陳述したのち、裁判長が結審を宣言し、判決日は追って指定とされました。横浜地裁の提訴から12年余に及んだ建設アスベスト訴訟は、いよいよ最高裁による司法判断が下されることになります。
当日は、最高裁正門前に全国から多くの支援の仲間が集まり集会を開き、入廷する原告団・弁護団を激励しました。神奈川労連の住谷議長は、高裁判決において一人親方が「労働者ではない」として救済されていないことを批判し、「最高裁は差別することなく全員の救済を」と訴え、被害根絶にむけて原告のみなさんと連帯してとりくむ決意を述べました。
夫と息子を奪われた
法廷では、遺族原告の栗田さんが夫と息子をアスベスト肺がんで奪われた苦しみを語り「私の希望は、すべてのアスベスト被害者、遺族が分け隔てなく救済される判決です」と訴えました。
また、本人原告の古野正行さんは、「誰も、私たちにアスベストの危険性を教えてくれませんでした。私も、いつ症状が重くなって人生を終えるのかと、不安で仕方ありません」と、一人親方の働く実態や病気の不安を訴え、一人親方を含む全面救済を求める意見陳述をおこないました。続いて弁護団が、国と建材メーカーの責任を広く認める判決を出すよう求めました。
最高裁で全面勝利判決を勝ち取るとともに、すべての被害者への補償を実現する「基金制度」をつくらせるたたかいを力強く前進させることにしています。