建築現場における作業を通じて石綿粉じんに曝露し、中皮腫や肺ガンなどの石綿関連疾患を発症した、神奈川県内の被災者及びその遺族(被災者数44名、原告数64名)が、国と建材メーカーを訴えていた「建設アスベスト・神奈川第2陣訴訟」。
8月28日、東京高裁は、国と建材メーカーに対し、総額約5億7千万円の支払いを命じる判決を言い渡しました。東京高裁前に集まった原告・支援者らは喜びの声をあげました。
メーカー責任も前進
この判決は、地裁判決を覆し、一人親方などの原告についても国に対する責任を明快に認め、全員の救済を認める画期的な判決となりました。また、地裁判決は建材メーカー2社の責任を認めましたが、高裁判決はそれを上回る3社の責任を認め、ほぼすべての原告についてメーカーに対する責任を認めました。
全国で同様に闘われている訴訟において、国は13回連続で責任を認められ(1週間後の東京地裁でも国の責任は断罪され14回連続に)、司法判断としては不動のものとなっています。
また、一人親方・零細事業主に対する国の責任についても、合計5つの高裁で連続して認められ、建材メーカーの損害賠償責任も、本判決を含め5つの高裁判決で認められています。
労働組合があったから
判決後の記者会見で原告の代表は、「労働者と同じように働いてきた一人親方の救済も認められてホッとした」、「闘えたのは支援してくれる労働組合があったからこそ」、「高齢の両親が判決内容を聞いて、涙を流して喜んでいた」などと述べました。
10月には神奈川第1陣訴訟について、最高裁で弁論が行われることが決まり、遅くとも今年度中には司法における決着がつく流れです。
一方で、多くの本人原告が裁判中に亡くなっており、一日も早い解決が求められます。原告や建設労連は、被災者を救済する補償基金制度の創設を求めており、実現させるために、さらに運動を強めることにしています。