神奈川労連は、9月13日に第36回定期大会を開催しました。発言では、1年間の運動、特にコロナ禍でのとりくみや、勝ちとってきた成果が教訓豊かに報告されました。新年度の運動方針や財政を確認し、また、運動の先頭に立つ新たな役員を選出しました。
大会は、出席する代議員数の制限や、時間の短縮・議事の簡素化など従来と異なる形式で開催しました。同時に、方針を各組織・組合員の意見・運動を反映させて練り上げていくことを重視して、発言時間を最大限に確保し、事前も含めた積極的な文書発言も呼びかけました。当日は15人の代議員が発言し、事前も含めて9の代議員・組織から文書発言がありました。
幹事会を代表して住谷議長があいさつを行い、安倍首相の辞任表明にも触れながら、「仲間を増やし、要求が実現する政治への転換」の重要性を訴えました。
運動方針案について山田事務局長が提案し、基調として4点を強調しました。
役割発揮をめざす
1点目は、「神奈川労連結成の意義を確認し役割発揮をめざす」ことです。
結成30年を迎えた神奈川労連の「県内すべての労働者とともに闘い要求前進をめざす」という意義・役割を改めて全体で確認し、実践していくことが組合員・県内労働者から期待されています。組合員の雇用・労働条件を守るために全力を尽くすことはもちろん、広大な未組織労働者の困難を打開するために、ともに闘うことが求められます。
拡大は最も重要な任務
2点目は、「組織の拡大・強化をはかる」ことです。
コロナ禍のとりくみで、貴重な成果を勝ちとっています。とりくみを強めることで、要求をさらに前進させることは可能です。同時に、個々バラバラでは困難です。要求を前進させるために、一人でも多くの労働者が労働組合に結集することを、組織労働者が未組織労働者に語り組織化すること、組織した力で運動を強化することが、今こそ求められています。
労働組合を大きく強くすることが、最も重要な任務であることを意思統一し、労働者を組織する体制を構築し実践に踏みだします。
憲法に基づく社会
3点目は、「憲法に基づく社会の構築」です。
コロナ禍によって、財界・政府が主導してきたアメリカ言いなり・新自由主義に基づく社会・経済・制度のあり方の矛盾が露わになっています。派遣や有期など『非正規雇用』はその典型であり、コロナ禍でも多くの不利益を被っています。抜本的に変革し、日本国憲法に基づく社会を構築し、賃金・労働条件、労働法制、税・社会保障、平和・民主主義などあらゆる課題で労働者・国民の要求の前進をめざします。
総選挙・横浜市長選挙
4点目は、「抜本的な転換で要求を実現する政治へ」のとりくみです。
社会変革の重要な一つとして、労働者・国民の要求を前進させる政治への転換をはかります。今大会期中に総選挙が行われる可能性が大です。要求実現・生活防衛のために神奈川労連として全力でとりくみます。県内では、来年夏に行われる横浜市長選挙も重要です。カジノ住民投票条例の直接請求署名運動を大きく成功させ、市民・労働者の市長の実現をめざします。
議案・役員を承認
財政関係の議案を神田事務局次長が提案した後、各代議員から発言がされ、討論のまとめを山田事務局長が行いました。
議案採決や役員選挙については、代議員に諮ったうえで拍手での確認を行い、すべての議案と新しい役員が承認されました。また、大会宣言と特別決議も確認されました。
杉沢副議長の閉会あいさつに続き、住谷議長の団結がんばろうで大会を終了しました。
文書を含め24人が発言
大会における発言を紹介します。
コロナ禍へのとりくみ
自治労連・杉田代議員は県立病院の状況について「20人超を受入れ独特の緊張感のなか、1人の患者に対応するだけで下着までグッショリ」と生々しく報告し、「公的病院として患者に対応できる対策や体制の拡充などが求められる」と強調。県国公・沼尻代議員は労働行政の状況を紹介するとともに、雇用情勢の悪化が懸念され運動が求められると述べました。また、県国公・関口代議員からも「国民の要望に対応するため、正規雇用による行政職員の増員が急務」と文書発言がありました。
建設労連からの文書発言は、組合員を中心に1万件以上の相談を受け、雇用調整助成金や持続化給付金の活用、国保料減免制度を確立して仲間の生活を守っているとりくみを紹介。全国一般の菅野代議員は「保育園も異様な雰囲気で新年度を迎えた」と述べ、行政への要請で一定要求が前進したと発言しました。自交総連は、利用者が激減し死活問題となるなか、箱根登山ハイヤー支部のとりくみなど休業補償の実現を報告しています。
横三・川崎・県中部の地域においても、他の様々な団体とも共同して自治体への要請・交渉をとりくんでいることが報告されました。
組織拡大・強化
生協労連・栗本代議員は、職場分会の日常活動を強化するために、分会長会議の工夫などによって、自ら考え行動する分会が増え前進していることを述べました。西湘労連・池田代議員は「コロナ禍だからこそ、職場運動の点検をしていく必要がある」と強調。
建交労・高橋代議員は個人事業主の軽貨物労働者の組織化を報告し、「相談できる組合ができてうれしい」とすでに約60人が加入し、1000人の組合をめざす決意が述べられました。自治労連・久保代議員は文書で、横浜市従の組織拡大では手紙作戦で100人超が加入し、支部への援助を強めれば組織率を飛躍させる可能性があると強調しています。横浜労連・佐々木代議員は、コロナ禍の相談から組織化が進み「昨年、横浜地区労に加盟した組合は、6人から117人に増えた」と成果を明らかにしました。医労連・古岡代議員は困難ななかでも工夫して新人の加入などを進め、増勢となっていることを報告。
横三労連・田中代議員は、地域からの組織化のとりくみとして、相談から地域合同労組に2人の青年を迎えたことや未加盟組織へのオルグ行動などを紹介。地域労組協議会の古山特別代議員は、相談からの組織化で協議会全体の組合員が500人を回復しているとし、さらなる組織化のために地域労組への協力・結集を呼びかけました。
闘って前進を
裁判闘争・労働争議についても発言がありました。建設労連・益田代議員は、建設アスベスト訴訟で画期的な勝利判決を勝ちとったことを述べ、補償基金制度創設による全面解決への決意を述べました。
建交労・清野代議員は、三昭運輸分会の争議の状況と悪質な社労士を排除するためのとりくみと成果を報告。電機情報ユニオン・伊草代議員は、自らのNEC不当解雇撤回争議について、裁判で会社側の主張が破たんしていること、公正判決署名への協力を文書発言しました。
川崎労連・大貫代議員は、日通における無期転換逃れの解雇事件を紹介し、労働契約法18条を活用して権利を勝ちとることの重要性を強調。港湾労組・戸倉代議員は、商船三井子会社での賃下げに対する闘いが裁判闘争になることを報告し、支援を訴えました。
制度政策の抜本的転換
横浜市のカジノ誘致阻止にむけた直接請求署名のとりくみについて横浜労連・政村代議員が報告し、「すでに計画は破たんしているが、必ず阻止するために署名を成功させよう」と訴えました。
年金者組合の石黒代議員は、「コロナ禍で年金制度の重要性が増している」と述べ、年金者組合のとりくみを紹介するとともに「方針に年金学習の位置づけを」と要望しました。生協労連の星代議員は文書発言として、最低賃金引き上げの運動を報告するとともに、「一緒にやりたいと思えるPOPな活動を展開したい」と抱負を語りました。
女性センター特別代議員の丸山さんは、労働組合におけるジェンダー平等について「役員の女性比率を増やせば良いというものではない」と指摘し、組織全体で学習を積極的に進めることを提起しました。