財界と政府は、安価な労働力を都合よく使うための方策として、「雇用によらない働き方」の拡大を狙っています。個人事業主、フリーランスなどと呼ばれ、無権利な状態に置かれていることが明らかになっています。こうした『労働者』の組織化の挑戦が始まっています。
最近、横浜などで「ウーバーイーツ」と書かれた大きなバッグを背負って、自転車で走行している人を見かけた方もいるのではないでしょうか。また、サービスを利用した方もいるかもしれません。
彼ら・彼女らは、飲食物を店舗から客まで運ぶ「出前」のような仕事をしていますが、「労働者」ではないとされています。こうした「労働者」は、実際には労働者性が高いにもかかわらず、雇用保険や労災保険に入れず、最低賃金も適用されない、有給休暇もないなど、無権利状態です。
この働き方が広がっている一つが、色々な物を運ぶ軽貨物事業です。この「労働者」を組織化していこうと、建交労、港湾労組、神奈川労連などの30~40代の役員が集まって相談を行い、具体的なとりくみで拡大も進んでいます。
名簿を取得して
まずは建交労ダンプ支部の経験を活かして、最近1年間で軽貨物事業を始めた個人事業主・法人の名簿(住所などが記載)を、関東運輸局に開示請求し取得しました。呼びかけのハガキチラシ(下記)や組織化のためのホームページなどを作成し、取得した名簿のあて先に昨年11月末から12月初めにかけて2700枚を送付しました。
とりくみの過程のなかで、呼びかけの主体と組合加入の受け皿として、建交労を母体とした「関東軽貨物ワーカーズユニオン」を立ち上げることを確認し、軽貨物「労働者」のメリットを中心に押し出しながら、組織化を進めることとしました。
1月5日に第1回の説明会を開催し、4人の方が参加。その後も新たな名簿での郵送を行い、これまでに4回の説明会を開催しています。
12人が加入
説明会では、組合加入のメリットを中心に説明するとともに、状況などについて意見交換しています。多く出されるのが「同業者間の情報交換を行いたい。ネットワークツールはないのか」というものです。単独で働いていることから、ヨコのつながりが要求になることが明らかになりました。また、「自分のところでフリーランスの方に働いてもらっているが、定着してもらうために福利厚生として労働組合の制度を活用したい」という方もいました。
実際のメリットとしては、個人事業主であることから「税金相談」がもっとも多く、交通災害共済や労災保険など事故の際の保障、ETC割引などに強い関心があります。
これまでに12人が組合加入し、また問い合わせやHP閲覧も続いており、さらに拡大を実現するために、とりくみを進めることにしています。