先日、受けた電話は、「最近、退職した会社の残業代が一部未払いのようだ」というものでした。そこで、未払い額を計算して会社に請求し、もし支払ってもらえなければ云々と話したところ、そういう手続きや交渉をお願いできるサービスはありませんか、と尋ねられました。
気を取り直して、「そういう専門サービスはありません、もちろん弁護士さんにお願いする道もありますが、まずはご自分でなさってはいかがですか」と答えました。
また、別の方からの電話では、何年もの間、派遣会社に「干されていた」とおっしゃるので、よくよく尋ねたところ、派遣会社が転職先をあっ旋してくれないので、やむなく不満の多い今の職場で辛抱しているということをそのように表現されたもののようでした。
モノを作っても売れない時代だからでしょうか、世間には過払い金請求や仕事探し、婚活のマッチングから退職代行まで、様々な仲介や代行サービスが提供されていて、なかには、スマホの普及に伴って、おもわず「へぇ!」と言いたくなるようなサービスも登場しつつあります。
しかし、それらサービスの多くは、「市場」における「商品」の交換を調整し、手数料や広告収入を得ようとするものです。
だから、それらサービスは私たちに多くの便利や満足を提供してくれる(または、そのような気分にしてくれる)一方で、私たちがそれと気づかぬ間に、一人一人を「商品」にしてしまい、互いの人間的な共感や紐帯を失いつつあるのではないか…。だからこそ、私たちの労働相談を通して一人でも多く方を労働組合につなげていくことができれば、と願っているのです。