3年連続の2ケタ引き上げは運動で勝ちとった貴重な成果
同時に、生活保護水準や「1000円」に程遠い低い水準
神奈川地方最低賃金審議会は8月19日、最低賃金を現行時間額766円から23円(3%)引き上げ、時間額789円とするよう神奈川労働局長に答申しました。
この間、神奈川労連は中央最低賃金審議会や厚生労働省に大幅な引き上げを求めて、6月30日の厚労省前ハンスト行動や7月23日の中央行動に積極的に参加。県内でも8月5日に神奈川労働局前でハンストをとりくみ職場や家庭での参加者も含め、約700人が参加しました。3年連続の2ケタ引き上げとなったことは、運動による貴重な成果です。
最低生計費は23万円超
しかし「時間額789円」では、そもそも生活できる水準や、私たちが早期実現を求めている「時間額1000円」などから程遠く、とても納得できるものではありません。789円でフルタイム働いても月12万円弱にしかなりません。横浜市内の単身者の生活保護基準は、働いていない人で月14万円強、働いている場合の必要経費・基礎控除を含めると月21万5千円を超えます。神奈川労連も参加し、「持ち物財調査」や「価格調査」を行って試算した首都圏の生計費調査によっても、若年単身世帯モデルの最低生計費は月額23万円超となっています。
働いても生活保護水準や最低生計費以下の賃金しか得られないことは、社会的な不条理です。働く意欲を削ぎ、社会的なモラルハザードを引き起こすことすら心配されます。生活実態を反映した生活保護水準や最低生計費を上回る最賃額に引き上げていくことが強く求められています。
日本経済を回復するには、内需の拡大とりわけ国民・労働者の消費の拡大が必要であることは明白です。根拠も不明な「支払い能力論」により、最賃の引き上げを低く抑えることは、消費をさらに低迷させ、悪循環を生みだしかねません。最低賃金を大幅に引き上げ、すべての労働者の賃金を引き上げていくことが、内需の拡大にもなり、モノが売れ企業業績の回復にもつながり、景気の確かな回復につながります。
神奈川労連は、少なくとも「時間額1000円」を実現するために運動をさらに強化していきます。