150人が高裁前に結集
最低賃金を「少なくとも時間額1000円以上に引き上げること」を求めた史上初の『最低賃金裁判』。2月に横浜地裁で極めて不当な判決が出され、19人の原告が控訴していました。
12月7日の東京高裁判決日、開廷前の集会には、原告6人・元原告4人を含め、支援者など約150人が結集。高裁前は熱気に包まれました。
傍聴席が満席となるなかで迎えた判決。第20民事部の山田裁判長は座るなり「本件控訴をいずれも棄却する」と宣言し、退廷。法廷は地裁に続く再びの不当判決に、大きな怒りに包まれました。
裁判所の不当性が鮮明に
高裁前で怒りのシュプレヒコールをし、日比谷公園前から新橋駅近くまでデモ行進しました。
「最賃1500円に引き上げろ」、「苦しいやつは声あげろ」などのコールに、通行人や新橋近くで働く人から大きな賛意が示され、涙を流しながら応援する女性の店員さんもいました。
まさに、主張の正当性は原告・支援者の側にあり、裁判所の不当性が鮮明になる光景でした。
判決文はたった2ページ
判決文は、実質2ページ。ほとんど中身のないもので、低すぎる最低賃金に苦しむ労働者を救済する気がまったくない「司法の責任放棄」の姿がありありと示されているひどい内容です。
報告集会では、弁護団から「処分性(行政の行為が国民の権利義務に直接に影響しており司法救済の対象となること)の判断においてこれまでの最高裁判決にも反している。また、通常の判決文では、控訴人と被告国の双方の主張のポイントをまとめて争点を明らかにし、その後に裁判所の判断を述べるものである。しかし、判決文はまったくその内容がなく、最低賃金改正決定に『処分性は認められないから控訴人らの訴えは不適法であると判断する』と述べているだけである。ひど過ぎる内容だ」と解説がされました。
原告らからは「これまでの5年間の私たちの訴えは何だったのか。裁判官は最低賃金で働き生きる我々の現実をわかっていない」、「ここに来られない低賃金で働く仲間の気持ちが通じなかった」と強い怒りが表明されました。
原告と神奈川労連は「生計費原則の最賃額確保、新たな全国一律最低賃金法の立法化の運動を、すべての労働者・国民との連帯と共同を広げて闘い続ける」とした声明を発表しました。