県職労連県公務公共一般労組・神奈フィル分会の2人の役員(杉本さん、布施木さん)が不当に解雇されている事件で、横浜地裁第7民事部が11月26日に判決を出しました。内容は、杉本さん、布施木さんが神奈川フィルに対して労働契約上の権利を有する地位にあることを確認し、解雇から本判決確定の日までの賃金及び遅延損害金の支払いを命じた、勝利判決です。判決が知らされた横浜地裁前では、原告・弁護団・支援者の喜びがはじけました。
本質は組合つぶしの解雇
県内唯一のプロのオーケストラである神奈川フィルにおいては、一部の理事が楽団を私物化し、理事の報酬を引き上げる一方で、楽団員の賃金を引き下げ年収で300万円台という低賃金を押し付けてきました。生活と楽団の将来に不安を抱いた楽団員が、県職労連に相談し分会を立ち上げ、団体交渉などで労働条件改善などを求めてきました。
当初から神奈川フィル分会を敵視した理事によって、組合活動の中心を担っていた2人が、ウソとでっち上げの理由によって不当に解雇されたものです。まさに組合つぶしの不当労働行為というのが、この解雇事件の本質です。
このことは昨年7月の県労働委員会で明確に認定され、原職復帰の命令が出されています。
心豊かに闘えた
横浜地裁の判決では、理事者側から出された伝聞を基にした証言が認められるなど、事実認定に大きな問題があります。さらに、理事者側が「解雇権の乱用を認識していなかった」として、不当労働行為を認めなかったことは、重大な誤りです。
それでも、理事者側から示された解雇理由について、「社会通念上の相当性が認められない」として、解雇無効を明示したことは重要です。神奈川フィルの理事会は、県労委命令に続く、地裁判決を重く受け止め、ただちに杉本さんと布施木さんを職場に復帰させるべきです。
また、2億円に近い県民の税金を補助金として拠出している神奈川県と黒岩県知事は、争議解決と楽団正常化のために指導責任を果たすべきです。
記者会見で杉本さんは、「経済的には大変でも、心豊かに3年7か月におよぶ争議を闘えたのは皆さんのおかげ。判決を力に楽団に戻りたい」と述べ、布施木さんは、「内容的に不満もあるがこちらが勝った。神奈川フィルを発展させるために、ますます力を貸していただきたい」とお礼を述べました。