神奈川労連

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労働相談コラム

2010年8月6日

自治体のアウトソーシング

いま自治体では、専門性を必要とする職種・業務までアウトソーシングすることが進んでいます。

労働条件が悪く、入札のたびに労働者の雇用が不安にさらされ大量の「官製ワーキングプア」が生み出されています。

労働相談センターに連絡してきた相談者Sさんは、川崎市内の公立高校の図書館司書として通算8年働いてきました。

最初の3年間は、派遣会社H社に登録派遣スタッフとして働きました。その後5年間は、K書店が図書業務を一括して請負ったため、K書店のパートとして移籍し、同じ業務を行ってきました。

ところが今年3月末に、K書店が入札ではずされたためSさんは、K書店からほかに仕事がないと解雇されました。

その上、新しく落札したA社からは、何の理由も示されないまま不採用とされてしまいました。ちなみに、A社はハローワークを通じ
新規で同校図書館業務に就く人を雇い入れていました。

同高校の図書館業務遂行の中心的な担い手であったSさんは、時間給950円(派遣のときは1200円)交通費無し、ボーナス無し、社会保険などの適用がない、労働時間もフルタイムで働くことが保証されない短時間労働で、労働条件が切り下げられても、無遅刻無欠勤で生き甲斐をもって働いていました。

Sさんは神奈川労連労働相談センターを通じて川崎地域合同労組に加入しK書店とA社に継続した雇用確保と解雇の経緯の説明を求めて団体交渉を数回行ってきました。川崎市教育委員会にも行政の責任で雇用の確保をはかるよう要請してきました。

その結果、緊急措置として川崎市の経済対策の一環として市立高校の図書館司書の仕事を確保させることができました。

解雇したK書店に対しては、1年契約の更新を5回繰り返して働いてきたこともあり、当面の生活費などの保障を勝ちとりました。

今回の問題は、川崎市が業務委託価格の引き下げをするなかで生じた問題です。公契約条例の制定が求められていることを
示す事例にもなっています。

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