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2025年2月3日

【全国自治会アンケート要請懇談】自治体との共同を強め「公共の再生」実現へ

1-01_413号

初任給は上がったが

 神奈川労連は、2005年から全自治体アンケート・要請懇談を始め、成果をあげてきています(左記参照)。
 今年は、2年連続での初任給の大幅引き上げ、県内市町村ごとにバラバラだった地域手当(0~16%)の格差を是正する「県内一律12%」が実現、長年の要求であった非正規職員の病気休暇の有給付与と「3年公募」(1年雇用で3年目に雇用終了し公募)の撤回を国に認めさせる成果のもとでの懇談でした。
 人事院勧告において、一般職の初任給が12%超(額で2万円超)引き上げられたことを受け、各自治体で初任給・若年層の大幅賃上げが実施されています。一方、中高年層の職員は1~2%程度の引上げにとどまっています。この点について、多くの自治体が「改善したい思いはあるが独自の引上げは難しい」と、思いを率直に語っています。
 「県内一律の12%にしたいが、財源が確保できない」という自治体もあり格差は解消されていません。一方、職員確保のため「0%地域だが一気に12%にする」という自治体もあります。
 賃金は改善されても、「職員不足は深刻です」と話す自治体では、内定者の3分の2が辞退したため通年で募集を行っていました。特に、技術系職員や保育士の人材不足で、「事務職が近隣自治体で研修を受けたり、独学で土木職の仕事を担っている」、「定年退職者に非正規職員として仕事を継続してもらっている」状態が続いています。

国に振り回され

 非正規職員の「3年公募」の撤回は大きな前進です。しかし、公募制度導入から5年で撤回することに、「国に振り回されている」、「職場に亀裂が生じた」と不満を述べていました。
 撤回を機に「雇用継続を基本に改める」とする自治体がある一方で、「住民の就労機会の平等」、「厳格な評価で雇用を終了させている」など、1年で雇用を終了させる自治体もありました(下表参照)。「公募しても応募が少なく、必要な人数を確保できない」と話す担当職員もいました。
 今年から「ボーナス」も支給することになりましたが、「格差がないように支給している」自治体がある反面、自己目標を申告させ2次面接と「国の制度に沿った評価を実施している」自治体もありました。
 病気休暇の有給措置を歓迎する声は多くありましたが、勤務時間や日数が様々なため制度設計に悩む自治体がある一方で、「非正規職員の病欠を埋めることが困難になるため慎重に検討したい」、「公募はなくなる、ボーナスも支給、病休も有給なら正規の職員を採用したい」と話す担当者もいました。

変化する対応

 公契約の適正化では、神奈川県が公契約条例の検討した結果に「期待をしていた」と言う声がありました。公共工事の設計労務単価がこの10年間で約75%上がる一方、現場労働者の賃金改善はごくわずかであることを指摘すると、「現場賃金の調査は必要だが職員の体制が取れない」と話します。
 神奈川県が委託と公共工事の約款に「労働法違反があった場合、速やかに報告義務を課している」と表記していることを伝えると「知らなかった」自治体が大半で、「参考にしたい」「県が実施したことで進めやすくなった」と具体化が期待できます。
 職員が担わなければならない予算積算などの見積作成を、「参考見積」として民間事業者に無償で依頼していることについて、昨年は「本来であれば100万円程度の経費を払う案件もあった」と衝撃的な話しがありました。今年は「心苦しさもある」、「図面や設計まで求めるものは委託にして有償化している」と大きく変化してきました。
 今年も全自治体から懇談項目の文書回答を事前に得ることができました。どの自治体も「市民のための行政でありたい」との思いはありますが、職員不足(マイナ制度やデジタル化等々の国からの仕事の押し付けによる大幅な業務増)で実行できないもどかしさを感じる懇談でした。


20年間の要請行動での要求前進・成果

1)2015時間問題の解消
 実際の労働時間より長い国の労働時間基準を使って残業代単価の計算を行う「2015時間問題」(残業代単価が低くなる)は、民間では労基法違反になることを指摘し、2017年には13自治体が「2015時間方式」の回答でしたが、2022年に愛川町が「労基法準拠に改定」によって、県内自治体の「労基法違反」は解消しました。

2)最賃割れの高卒初任給
 会計年度任用職員制度の導入によって、非正規職員も「地公法の任用職員となり最賃法適用除外」として箱根町は公然と「最賃割れの時給」で職員を募集。懇談で「適用除外は最賃割れを容認するものではない」と追及した結果、「最賃額を適用」すると是正しました。
 高卒初任給の「最賃割れ」は長年追及。人事院が最賃を意識せざるを得ない状況に追い込み、初任給の大幅引上げで県内の高卒初任給は時間単価で1524円となりました。

3)非正規職員の雇用の安定
 非正規職員は労契法・無期転換ルールが適用外のうえに、「3年で雇止め・公募」が行われています。国が行っていた「公募」によって、雇止め・雇用不安による職員間のギクシャクや、年度末大量休暇などが生じている実態を述べ、会計年度任用職員制度の導入によって「市町村が住民の首切り」を実行しないことを求めました。昨年度の懇談では、約半数の自治体で「公募は実施しない」、「従前の方法で対処する」など、雇用の安定をはかっていることが明らかになりました。今年、国から「3年公募」の廃止を通知させる成果に結びついています。

4)公契約の適正化、参考見積
 公契約条例の必要性はほとんどの自治体で認める状況になっています。一方で、「民民契約」「権限がない」などを理由に賃金実態調査を実施している自治体は少数です。「参考見積の有償化」は、「検討していない」との回答から、「コスト・負担は認める」が増えています。二宮町では「予算措置した」との回答もでています。


 自治体で働く非正規労働者を「会計年度任用職員」とする制度が始まるとき、国は「継続した任用の上限3年」を自治体に原則として示しました。
 上限を設けない自治体もありましたが、昨年、国がこの「3年公募」の廃止を通知。各自治体の対応を表にまとめました。「実施」は、その年数で雇止め・公募を行うことを示しています。労働者の雇用・権利を守るために撤廃させることが必要です。

自治体名

公募

神奈川県 見直し検討
横浜市 5年目実施
川崎市 5年目実施
相模原市 見直し検討
横須賀市 3年目実施
三浦市 ない
鎌倉市 見直し検討
逗子市 3年目実施
葉山町 見直し検討
藤沢市 見直し検討
茅ヶ崎市 4年目検討
寒川町 撤廃予定
平塚市 5年目実施
大磯町 3年目実施
二宮町 5年目実施
大和市 登録制
座間市 ない
綾瀬市 毎年実施
厚木市 ない
愛川町 ない
清川村 ない
海老名市 撤廃検討
伊勢原市 撤廃検討
秦野市 3年目実施
小田原市 ない
箱根町 ない
真鶴町 毎年実施
湯河原町 ない
南足柄市 見直し検討
開成町 撤廃検討
大井町 ない
松田町 ない
中井町 ない
山北町 ない

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