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セクハラ・パワハラ・いじめ トピックス

2024年6月3日

【防大いじめ裁判】極めて不当な判決 たたかいは継続

今も声が出ない

 それは、「死ね」「辞めちまえ」などの暴言や叱責、罵倒。「食いシバキ」「腹踏み」など学内で蔓延するいじめ。原告が1年時に、強い精神的なストレスによる過呼吸、自傷行為、自宅療養を経て学内に戻ると、いじめはエスカレート。剣道部の「伝統的いじめ」の「廻し」「素振り100回」「暴力的指導」が繰り返され、果てには絶対的な上下関係のなかで下級生の「カラかい」が始まり、自殺未遂を起こしました。
 それでもいじめは止まず、指導教官自衛官も「学生間指導」として行為を放置しました。ついに、原告青年は「声を発することができない」状態まで追い込まれ、「退校」処分となりました。今も声を出すことができません。

暴力はあったが…

 原告は19年9月、在校中の暴行やいじめ、人権侵害に対して元学生の上級生と国に謝罪、慰謝料や損害賠償を求め、横浜地裁に提訴しました。
 5月15日、横浜地裁(第5民事部、藤岡淳裁判長)は、原告の請求をすべて棄却する極めて不当な判決、悪意に満ちた判断をしました。
 判決では、「いじめや暴力はいずれも学生間指導の範囲で不適切とは言えない。自傷行為といじめの因果関係は認められない」とし、指導教官の聞きとりに原告が「指導は自分に非がある」と述べたことを引用して、「原告はストレスに対する耐性が弱い」、「暴力はあったが、違法な暴行を加えたとは認められない」と判断。国・指導教官についても「原告の心理的負担を低減させるよう適切に対応した」と義務違反はないとしました。

控訴を決意

 判決後の横浜地裁前は、想像だにしない判決に「まさか」の声とともに「不当判決」の怒りの声に満ちあふれました。
 報告集会で、原告の父親は「いじめが認定されるものと思っていた。ズタズタに切り裂かれた息子の心の傷は見えない。今も、これからも癒えることはない。司法とは何なのか」と全身を震わせ憤りました。
 弁護団は「あまりにも酷い判決。いじめの集団性や継続性の特性を見ず、想像力が欠如している。学生間指導の問題点を野放し、これからも好きにやってくれと言わんばかりの判決」。高裁で逆転勝訴した遺族は「命を落さなければ司法はいじめと認めないのか。息子の死を認めた判決は防大のいじめの解消につながっていない」と不当判決への怒りを述べました。
 原告は控訴を決意し、高裁での闘いが行われます。いっそうの支援をお願いします。

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