妊娠・出産・育児休業、介護休業に関するハラスメントやセクハラへの対策は事業主の義務です。男女雇用機会均等法第11条、育児・介護休業法第25条で定められています。事業主はわかっていても、そこで働く従業員すべてがハラスメントを理解していないと、悲しい思いをする労働者がうまれてしまいます。
中小企業にパート社員として勤務する方から、妊娠を上司に報告して作業の軽減をお願いしたら、同僚から「あの人だけ軽減されるのは不公平」と陰口を言われ、上司からも「何かあったら心配だから退職も考えたほうがいいのでは」と言われた、働き続けたいと思っているが辞めた方がいいのか、という相談がありました。
明らかに、男女雇用機会均等法の第9条第3項違反です。雇用する女性労働者が妊娠したこと、出産したことを理由とした解雇や不利益扱いは禁止されています。
このパート社員さんの会社には相談窓口があったので、そこに言われた事実を訴えて対応してもらうようにアドバイスしました。対応してくれなかったり、対応に納得いかないようなら、神奈川労働局の雇用環境・均等部に電話するように電話番号を教えました。
ハラスメントの相談窓口設置は企業に義務化されていますが、相談を受けるなかで聞くとまだ少ないように感じます。
妊娠・出産をする女性労働者だけでなく、育児休業を取得する男性労働者にもハラスメント防止が必要です。
事業主にはハラスメントのない職場にするために、日頃から労働者への意識啓発など周知徹底をはかることや、相談窓口を設けること、職場環境をチェックしてハラスメントを未然に防ぐことが求められています。