毎日1分単位で残業代を計算しなければならないのに、30分以上超えないと残業代申請ができないや、申請できても15分単位になるなどの、残業代未払いの相談が増えている。
具体的には、①就業規則には記載が無いが、「残業申請は定時後30分を超えてからしか申請できない」と入社後に言い渡された。就業時間は8時30分から17時30分までだが、17時50分まで残業しても残業申請の用紙を上司が作成してくれない。そのため、残業申請できずに毎日20分どころか2時間残業しているスタッフもいる。
②会計年度任用職員として働いている。残業は基本的にはしないよう指示されているが、時期により時間内に終わらない業務量がある。残業の申請方法を尋ねたところ、30分以上15分単位と言われた。
厚生労働省の平成29年1月20日の「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」では、労働時間の確認方法として、使用者の現認やタイムカード等の「客観的」記録を基礎として「適正に確認すること」としており、大雑把な把握を避けている。
その結果、日々の労働時間の把握は「1分単位」となり、1日の労働時間の集計で、端数を切りあげることは問題ないが、切り捨てることはできない。
ただし、厚労省通達(昭和63年3月14日基発第150号)で、1か月における時間外労働等について1時間未満の端数がある場合は、「30分未満の端数を切り捨て、それ以上を1時間に切り上げる」端数処理を行っても、労働基準法違反としては取り扱わないこととされている。