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2023年8月2日

組合でやれば 変えられる自信・確信

 横須賀市野比にある重度の知的障害者の通所施設である「第2かがみ田苑」で働く労働者が、2021年1月に結成した『かがみ田苑労働組合』(医労連と横三労連に加盟)。様々な要求を実現し、組合員も大きく増やしています。組合のとりくみや成果・教訓などについて、当該組合の岩永さん、霧生(きりう)さんと、横三労連事務局長の田中さんにお話を伺いました。

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 施設は市立で、横須賀市社会福祉事業団が指定管理者となって運営されています。

職員全員から署名

 職場では、人手不足が深刻でした。組合結成前にも、岩永さん・霧生さんらは増員を求め事務局長に直談判。職員全員から署名も集めて提出しましたが、「聞き置かれるだけで改善されませんでした」。

 足りない人数で重度の利用者に対応するため、2020年度にはケガ・事故・労災事故が111件(うち労災等通院事例は23件)も発生しました。しかし管理者は「他の事業所の赤字を補填するため、増員はできない」と改善する様子はまったくありませんでした。

 「このままでは、利用者と職員の安全と人権が守れない」と感じた岩永さんは、労働組合の必要性を感じ動きはじめます。情報を集め、複数の労働組合に電話。「一番親身になって聞いてくれたのが医労連でした」。

 職場では、「おかしいな」と思いながらも、施設長などから「福祉職場ではあたり前」、「工夫が足りない」などと言われる状況がありました。「状況を話したら、『それは問題ですね』と言ってもらい、励みになりました」と岩永さんは言います。霧生さんも「おかしいと思っていたことが、やっぱりおかしいんだと確信になった」と話します。

初団交と組合結成

 20年6月に3人が医労連個人加盟組合に加入、7月にさらに3人が加入し、常勤職員全員が組合員になりました。

職員増を実現するため、職員定数の基準を満たしていない実態について、8月に市の指導監査課に告発。田中事務局長のはからいで、共産党市議団と懇談を行い、共同でとりくむ関係をつくり、議会でも取りあげてもらい大きな効果を発揮します。

 翌9月から異例の4回にわたる指導が入り、告発した違反行為が認定され、1月に「改善を要する文書指導」と「返戻金」が事業団に命じられました。

 12月には初めての団体交渉を行いました。「ドキドキでしたが、腹もくくれました」と岩永さん。職員について基準まで配置することが決まり、要求が実現しました。確信と自信を深めるなかで、21年1月に『かがみ田苑労組』を結成し、公然化しました。

当事者に声をかけ

 次に課題としたのは非常勤職員の退職金です。「非常勤に退職金はない」と言われていましたが、事業団が加入する退職共済制度では、非常勤も加入させることが定められていました。非常勤職員に「退職金が実現する可能性がある。組合で一緒にやらないか」と声をかけるなか、2回目の団体交渉を実施。対象者全員の加入を認めさせ、実現したところ、一斉に10人の非常勤職員が組合加入しました。

 組合員には、経過などの資料をつくって説明会を開催し、組合の役割や意義について納得してもらう努力をしています。非常勤職員が次々に加入するなかで、21年8月には組合員が20人を超えました。

ストを構えて

 最大の闘いが昨年にありました。市とのなれあいで不採算事業を受託していた事業団は、経営が悪化していました。昨年7月に理事長が「経営破綻の恐れがある」と全職員に通知。そして、11月に「期末勤勉手当50%カット」、「非常勤契約職委員の勤務日数を5日から3・5日に削減」という方針を示してきました。

 勤務日数削減は、手取りが10万円を下回り、勝ちとった退職金共済の加入要件からも外れるもので、働き続けられない条件です。組合員は集まって議論し「私たちがいなくなったら、利用者も守られない。雇用・労働条件と利用者を守るためにストライキを構えよう」と一致し、通告して「不利益変更の完全撤廃」を求めて団体交渉に臨みました。

 手当カットについては、手続きの違法性を明らかにして追及するなかで「半減は取り下げます」と撤回させました。「使用者側はこれで終わりと思ったようですが、目標は非常勤の問題を含めて完全撤廃でしたから、ストを構えた交渉を継続しました」。

 「本当にストは嫌だったようで、理事長から回避を求める文書が2回きました」と岩永さん。「決裂したら、ストやろう」と決めて臨んだ12月の団交で、理事者側が「すべて削除する」と回答し、要求を実現して終結しました。

 市議団と連携するなかで、横須賀市にも責任があることを追求し、理事長も市と交渉するなかで、経営を守るための指定管理料の補填も実現させています。

学習を重視して

 霧生さんは「ストを決めたとき、横三労連が支援金集めを議論してくれ、すごく後押しになり嬉しかった」と振り返ります。「課題のたびに、医労連と横三労連に頻繁に連絡し、教えてもらったことが力になった」と岩永さん。

 かがみ田苑労組は地域の支援も得ながら、学習のとりくみを重視し継続しています。霧生さんは、「団交などをやって、基本のことを知らないと限界がくるという実感がある」と言い、岩永さんとともに勤通大も受講しました。

 今は、全労連のわくわく講座を組合員7人が参加して受講しています。拡大でも今春に新しい仲間が加入し、現在は28人。職員数の過半数を超えました。

 事業団の先行きは不透明なところがありますが、組織を強く大きくして、さらなる前進をめざしていきます。

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