9月10日、東京高裁において日産自動車と日産車体が、派遣・期間労働者5人を解雇・雇い止めした事件の控訴審の判決が示されました。
日産の違法行為を免罪
東京高裁第12民事部の杉原則彦裁判長は、横浜地裁の原審判決と同様、解雇権濫用法理の脱法目的としか言いようがない、組織的な雇用形態の変遷、いわゆる「地位のキャッチボール」を免罪し、原告の控訴を全面棄却の不当な判決を言い渡しました。
この判決は、日産自動車が常用労働者を直接雇用したものと同視すべき、事前面接による派遣労働者の特定行為と、賃金決定に相当程度に影響を及ぼしている事実を何の根拠もなく否定しました。また、判例において確立した更新の期待権を、受注量の増減に対応する雇用調整弁の限りに過ぎないとしました。
今回、突然の審議打ち切りののち出された高裁の判断は、日産グループによる組織的な違法・脱法行為の数々を無視し、期間工の雇止にも解雇権濫用法理を類推適用すべきとの法理を骨抜きにする、最高裁判例違反とも言うべきものです。
違法をただすまで闘う
全面棄却の不当判決後、いすゞ・日産支援共闘、傍聴者、支援者は、高裁前で抗議の訴えを行いました。
その後、国公労連会議室で開催された報告集会で、弁護団は「正社員の仕事を派遣に置き換えてはならない、常用代替防止の原則を骨抜きにする流れに司法が追随した」と批判。
神奈川労連の福田議長は、判決日前日に、世論や野党の大反対を無視し採決された常用代替防止原則を崩壊させる「改正」派遣法を許さず「非正規切り」争議を全力で戦い抜く決意を表明し、激励しました。原告の阿部さんは、「日産の違法をただすまで闘います」と力強く宣言しました。
当日には、日産車体と日産本社に要請を行いました。日産車体は事前に要請を了承していたにもかかわらず、担当者不在のため、警備員を通して要請書を届け、日産本社は、受付の一時預かりを通して声明文を届けました。
争議が起きてから7年。理不尽な派遣労働者・期間工切りと不当判決に苦しむ仲間の権利回復のため、よりいっそうの運動強化で活路を切り開いていくことが求められます。
写真は、報告集会での原告と弁護団。