8月21日、神奈川地方最低賃金審議会は最賃の改定について、887円から18円引き上げ、10月18日から905円とする内容を答申しました。
労働者側委員が中央最低賃金審議会の目安額(19円)以上の引き上げを求めたのに対して、使用者側委員は「近接県との格差」や「箱根の火山活動」までも持ち出し、公益委員・使用者側委員全員の賛成で、目安額を1円下回る額としました。2007年の最低賃金法改正以降、目安額を下回ったのは全国でも初めてであり、極めて不当な答申に断乎として抗議するものです。
審議会が賃上げを抑制
最低賃金の引き上げは、多くの低賃金で働く労働者の生活と労働を改善するものです。昨年・一昨年とも19円引き上げられ、そのことにより県内労働者のうち17%、12%もの労働者に影響があったと労働局は発表しています。これは、約40~50万人にものぼるものです。今回の引き上げも同程度の労働者の賃金に影響すると考えられ、数十万にも及ぶ労働者の賃金の抑制を最賃審議会が行ったことを看過することはできません。
答申決定前日に行われた最賃裁判では、最低賃金ぎりぎりで働く4人の原告が深刻な生活と労働の実態、将来にまったく希望を持てない実態を裁判長の前で告発しました。こうした実態にまったく目を向けない耳を貸さない審議会であるならば、必要がありません。
そもそも、最低賃金法と憲法に照らせば、全国どこでも「少なくとも時間額1000円以上」にする必要があります。神奈川労働局長は、最低賃金裁判で明らかとなったまやかしの計算による生活保護費との比較=「五つのゴマカシ」を放置したままの「生活保護との逆転解消」を改め、最賃裁判原告たちの要求に応え、神奈川地方最賃審議会答申を差し戻し、時間額1000円以上とすることを強く求めるものです。