神奈川労連

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労働相談コラム

2009年7月1日

職業安定所の本来の機能と役割をとり戻すために

労働行政のOBとして、考えさせられる出来事がありました。失業率が5%を超え、求人倍率が2人で1件を争う状況下、40歳半ば以上の人は紹介できる求人もない、これが職安を利用している人の話です。相談の女性は、日産車体で「派遣切り」にあった事務系の40代前半の方からで「友人や親類だと、つい愚痴や甘えになってしまう。第三者の意見を聞きたかった。何の相談でもどうぞと電話帳に書いてあったので…」と切り出しました。現在、失業給付を受給中。就職先を探すためのアドバイスがほしいとのこと。駅からバス利用の不便な場所に住んでいるので、アパートを探すことを優先、どこにしようかと迷路に入り込んでいました。解決の順番と自分の一番大事にする選択肢をはじめにきちんと整理し現実を見極めたらどうか、と話すと「すっきりしました」と電話を切りました。

これは、職業相談の重要な分野で本来であれば安定所の仕事です。残念ながら多数の来所者をさばき、職業紹介を優先するあまり、本来の職業相談が十分に機能していないのです。成績主義が公務職場に導入されていることと無関係ではないと感じました。

全国紙の折り込みで『あしたのニッポン』と名乗る雇用対策の拡充を掲げた政府公報が配られましたが、多額の税金を使って広報を配ることが国民に必要なものだったのか、という疑問が浮かびました。支持率低下の麻生内閣が選挙対策としてやったとしか考えられません。厚生労働省幹部の文書偽造でも今回の広報配布でも、政治家の介入で、行政が本来の役割と責任を果たせないような運営を許している現状こそ問題にしないといけないと思います。どこを見ても混乱のきわみ、社会が本当に壊れないうちに抜本的な大手術が必要。執刀するのは、国民です。(伍)

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