労働相談センターでは、さまざまな相談に相談員が的確に対応できるよう、毎月の会議で事例研究を行なっています。
相談員がチューターになり事例を報告して意見を出しあい、法令や判例を学び全員が理解を深め問題点を共有できるようにします。
最近行った事例研究を紹介します。
「労働条件の不利益変更について」では、日本労働弁護団季刊の「労働条件不利益変更とどう立ち向かうか」を学習。
【事例1】保険代理店に出向した際に労働条件の明示がなく、降格で役職手当が無くなり年収120万の減収になった。
【事例2】営業職を外され採用担当になる。営業手当など月額8万円の減額になる。不利益変更になるか。
事例に基づき、「労働組合を紹介し団体交渉で降格の理由の正当性などを問い、賃下げ分の支払いを求める」、「異動による職種変更に合理的理由があるか」、「業務命令で仕方ないのか」などと討論しました。
「試用期間中の解雇」についても2つの事例をもとに意見を交換しました。
【事例1】3か月の試用期間、研修も受けたがその業務は無理だと判断され他の業務に変えられたが、そこでも対応できず試用期間途中で退職勧奨を受け退職。その後、不当解雇で争う。
【事例2】試用期間3か月を更に3か月延長されたが、「コミュニケーション能力不足」で試用期間満了日で解雇。
議論では、「教育は充分だったか、他に適切な配置部署がなかったかなどが問われる」、「労働契約は成立しているが、解約権が留保されている期間なので解雇しやすい」、「試用期間でも解雇権乱用法理が適用される。しかし解雇が有効とされた判例もいくつかある」、「労働者を教育し育てる環境がなく即戦力を求められ使い捨てされる」、「競争社会の反映である」などの意見が出されました。