2008年末いすゞ自動車の藤沢工場などで働いていた約1400人もの期間社員・派遣労働者が、契約期間途中にもかかわらず解雇を通告されました。突然の話しに納得できない労働者は、JMIU(全日本金属情報機器労働組合)に加入し団体交渉を行った結果、期間社員の解雇を撤回し希望退職を募るという画期的な成果を得ました。
しかし、希望退職に応じなかった期間社員・派遣社員を「契約期間満了」として、09年4月に全員解雇しました。JMIUに加入した労働者は、「解雇撤回、職場復帰」を求めて裁判を闘い、東京地裁では不当な判決が出され、東京高裁に控訴していました。
3月26日、高裁で判決が出され、地裁に続き極めて不当な判決となりました。もっとも重要な争点は「解雇の必要性」でした。労働者側は、「解雇された時点では、いすゞの社長自身が生産回復の見通しを公表しており、必要性がなかった」ことを主張。立証するため、いすゞ社長の証人尋問を強く求めましたが、高裁は証人採用もせず、判決では「社会経済の景気予測が厳しかった」と一般論で判断し、原告の主張を切り捨てました。
非正規労働者を差別
また、期間社員・派遣社員という非正規労働者の「雇用継続の期待権」について「一定の限度がある」と一言ではね除け、非正規労働者と正社員を同等にする必要性はないという差別的な判断を行っています。
さらに、原告が主張していた損害賠償について、「契約途中解約には就業先の確保や損害の賠償を伴う」との厚労省指針や、いすゞ自動車の一方的派遣契約解約を認めているにも関わらず、判決は「派遣契約はいすゞと派遣会社であり労働者はその当事者ではない」と退けています。
最高裁での闘いへ
判決後の報告集会で弁護団は「憤りに耐えがたい不当判決」と述べ、「事実認定能力や法律家として最低限の能力を持ちえない裁判官は辞するべき」と厳しく批判しました。
また、原告からは、「非正規労働者の実態を見ない国会や行政、そして司法がある。崩壊しつつある民主主義を取り戻し、まともな社会に正すため最高裁でのたたかいと労働者派遣法の大改悪阻止に全力をあげる」と決意が述べられました。