日本通運・日通「無期転換逃れ」事件

労働契約法の脱法行為による雇止め

岩本さんは、日通川崎で 1 年の雇用契約を繰り返す有期雇用で働いてきました。「雇用契約が 5 年を超えた場合は、定年まで働ける『無期雇用』にしよう」と法的に定めています。（労働契約法 18 条、無期雇用転換権）ところが日通は、その前日に雇止めをしてきました。
2020年11 月の横浜地裁川崎支部の証人尋問で秋田証人現副社長・雇止め当時労働部長）は、「岩本さんに用いた雇止め制度の狙いは、無期雇用阻止にあった。制度は、厚生労働省のパンフレットを参考に作った。だから問題なし」と述べました。この日通の姿勢は、有期雇用であっても職の安定を求める法の意図、国会・国民の意思を踏みにじるものです。

労働契約法での国会審議で、当時の安倍総理大臣、小宮山厚生労働大臣らは、「岩本さんにしたような雇止めは許されない」と答弁しています。しかし、秋田証人は、財界の労働法制責任者でありながら、こうした経緯を「知らない」と証言しました。自分に都合の悪い国会審議や厚労省の指針は知らんぷりや無視をするという卑怯な態度です。

しかし、地裁は2021年3月30日、「雇い止め記載の契約書に署名していた」をもって、雇止めを認める不当な判決を出しました。労働者に不利な契約書でも、署名すれば「いずれ雇止め」、署名しなければ「直ちに雇止め」という選択肢がない契約が公正であるはずはありません。

東京高裁第一回期日

2021年11月 5 日の高裁控訴審第一回期日には、日通本社前宣伝、裁判所前宣伝と署名提出、裁判傍聴、参議院会館での院内集会と多彩な行動を行いました。本社前宣伝では健康診断に出向くビラを社員に手渡すことができました。裁判所前宣伝では 5 0 名程の支援者が駆け付け、第一次として 4500 筆の署名を裁判所に提出しました。裁判は一番大きい法廷で審理が行われ、新たな証人（岩本さんの直属上司）の採用が決まりました。高裁段階で新たな証人が認められるのは稀とのことで、運動の成果を感じました。
参議院議員会館に場所を移しての院内集会は、労働契約法見直しの年に合わせて、法の問題点を考え、法見直しへの尽力を社会や国会議員に要請する目的で行われました。東京で同様の雇止め撤回を闘うユニオンネット日通東京の皆さんとの共催で会場いっぱいの約 80 名と、社民党の福島瑞穂議員、共産党の山添拓議員と宮本徹議員が参加し、共同声明に沿った努力を約してくれました。

次回裁判は、2021年2月28日15時から東京高裁大法廷で開かれます。傍聴券は抽選となりますので14時30分頃までに裁判所に来てください。

裁判所宛ての「公正判

決を求める賛同署名」へのご協力もお願いします。

211105 労契法18条見直し院内集会_共同アピール