「会社の備品が無くなったので、普段その備品を使用していた社員全員がそれぞれ15000円の罰金を請求された」
「仕事で、会社の自動車を運転中にもらい事故を起こしたら、会社から車の修理代を払えと言われた」
「会社の取引先に大きな損害を与えてしまったので、それを賠償した会社から毎月10万円が給料から引かれている」
以上の3件のように、会社から損害賠償を求められたという相談が時々あります。賠償しなければならないのでしょうか。
過去の判例をみると、労働契約の解釈として、労働過程において通常想定される過失については労働者の賠償責任は免責されるとしています。つまり、仕事上のミスで損害を与えても当然には賠償義務は発生しないということです。
一方、故意またはそれと同視しうる重い過失の場合は労働者は一定の責任を免れないとしています。
ただし、その場合でもその範囲は使用者側、労働者側の諸事情を総合的に考慮して決定され、損害全額に及ぶことは通常ありません。
会社が勝手に賃金から損害賠償金を差し引くこともできません。労基法17条(前借金相殺の禁止)、24条(賃金の全額支払の原則)違反となります。