今年度の最低賃金の改定額について、神奈川地方最低賃金審議会は、中央の審議会が示した「目安」と同額の「28円」引き上げる答申を示しました。神奈川労連は引き上げが不十分であることから答申に対する異議申し出を行いましたが受け入れられず、10月1日から神奈川の最低賃金は「時間額1040円」となることが決まりました。
全国的な闘いの成果
昨年の最低賃金の改定審議においては、安倍首相(当時)の賃上げ抑制の意向を受けて、中賃が改定の目安を示さず、神奈川でも全国平均でも「1円」の引き上げにとどまりました。
今年度は全労連に結集する仲間が、出足早くとりくみ、世論をつくりだすなかで、政府や審議会の方針・議論に影響を与え、一定の「目安」や「答申」を引き出したことは、私たちの運動の成果です。「時間額1040円」を下回って働いている労働者は多く、10月1日から賃上げが実現することになります。
1500円以上が必要
一定額の引き上げは成果であるものの、憲法25条「健康で文化的な生活」を実現するには不十分です。時間額1040円で月160時間(1日8時間で20日間)働いたとしても17万円に届きません。年間でも200万円に満たず、ワーキングプアのままです。神奈川労連が求めている「時間額1500円以上」に抜本的に引き上げていくことが必要です。
もう一つの問題は、全国バラバラで大きな額の格差があることです。全国最低の高知・沖縄(820円)と最高の東京(1041円)では、221円もの差があります。月にすれば3万5千円超、年間では42万円超の差がつきます。全国展開のチェーン店などでは、全国どこでも売っている商品の値段は一緒、働き方も一緒なのに、労働者の賃金だけが違う理不尽な状況が続いています。全国一律時間額1500円以上の最賃を実現することが、地域経済をはじめ社会全体を良くしていくために必要です。