シリーズ第2弾は、政治と雇用・働き方のかかわりです。
労働組合は、「低賃金で不安定な非正規雇用労働者が増えていること」を問題視し改善を求めています。一方、使用者からは「自由に働き方を選んだ結果。嫌なら非正規雇用の契約を結ばなければよい」という言い方がされます。
1200万人超増加
もちろん様々な理由から、自ら選択して非正規雇用となっている労働者もいます。しかし、グラフのように30年間で1200万人以上、率で17ポイント以上も非正規雇用が増えたのは、「やむを得ず」選択せざるを得ない状況がつくられたからに他なりません。
1995年に財界団体が、ごく一部のエリート正社員以外は、非正規雇用にすることを提唱しました。目的は、非正規雇用を増やし賃金など人件費を削減して、企業とりわけ大企業の利益をさらに増大させることでした。
財界は自公政府に働きかけ、「正規雇用が当たり前」の働くルールや雇用慣行を次々と破壊しました。派遣労働の全面解禁や、基幹業務の非正規労働者へのおきかえ、公務の民間委託化などを通じて、低賃金の非正規雇用が増大しました。
また、正規雇用労働者の賃金を抑制・削減し、生活水準を維持するために女性や学生、高齢者なども働かざるを得ない状況をつくりだし、非正規雇用として低賃金で働かせるシステムがつくられてきました。最近ではさらに進んで、個人請負やフリーランスという雇用契約でない働き方も増え、ますます無権利な状況が広がっています。
言いなり政治を変える
コロナ禍において、非正規雇用労働者が不当な扱いを受け、困窮状況に陥る事態が起きています。一つひとつの不当な行為を正していくことは必要ですが、同時に、非正規雇用労働者の権利を抜本的に強化することや、正規雇用を基本とする雇用の規制をつくっていくことが必要です。
非正規雇用を増大させたのは、政治による施策の結果です。逆に政治によって、安定したまともな賃金の雇用を増やすことも可能です。
「世界で一番企業が活躍できる国」などと言って、財界・大企業の言いなりになっている政治を変える必要があります。政治が変われば、まともな雇用を増やし賃金を引き上げる施策も可能です。