今年の最低賃金額の改定について、審議が始まっています。大幅な引き上げを求める「最賃引き上げYO!」デモ行進がとりくまれました。
約100人が参加
6月26日に実施したデモ行進は、上部団体の異なる労働組合が集って構成している「Fight for 1500」実行委員会が主催したもので、約80人が参加しました。
赤レンガ倉庫前での出発集会では、実行委員長の柏木さん(医労連)が「コロナ禍で制限もあるが、最賃1500円や全国一律の実現をアピールしよう」と訴えました。
赤レンガ倉庫前から桜木町駅までを、大きなパネルを連ねて「最低賃金をあげよう」、「全国一律1500円」などの文字をつくってアピール。先頭と最後部では「きみのバイトの時給はいくらだ!」などの大きな横断幕を掲げて行進しました。道行く人から注目を集め、沿道で配布したチラシ・ティッシュも次々と受け取られていきました。
昨年はたった「1円」
最低賃金の改定については、まず中央の最低賃金審議会(中賃)で議論し、ABCDにランク分けされた各地方に「目安」が示されます。この「目安」に基づき、各地方の最賃審議会(地賃)が改定についての「答申」を示し決められる流れです。
昨年は、経済団体の意向を受けて、当時の安倍首相が最賃引き上げに極めて消極的な態度を示し、忖度した中賃が「据え置き」との「目安」を示しました。地賃では「目安」を乗り越えて多くの地方で1~3円の引き上げを答申しましたが、全国平均では「1円」という極めて不十分な引き上げとなりました。神奈川でも「1円」だけの引き上げに留まりました。
今年も、経済団体からは「引き上げ凍結」などの意見が政府や中賃に出されています。
極少の中小企業支援
しかし、コロナ禍でダメージを受けた地域経済を回復させるために、最低賃金の引き上げは必要です。
実際、左表にある通り、日本と同様の経済状況である欧米諸国においては、コロナ禍においても最低賃金を着実に引き上げ、経済回復の筋道をつくっています。
確かに、飲食業や旅行関連など厳しい経営状況の事業所はあります。そうした事業所には別途、きちんとした補償をすべきであり、最低賃金を引き上げない理由にすることは許されません。
また、「最賃引き上げは、中小企業の経営を圧迫する」と経済団体は言いますが、私たちは、最賃引き上げに中小企業が対応できるよう、現在の雀の涙のような支援額(下参照)を抜本的に引き上げることを求めています。
大企業から財源を
そして、支援額引き上げの財源として、コロナ禍でもボロ儲けをあげている、大企業や大金持ちに応分の負担を求めることが必要です。
米バイデン大統領は、連邦政府の契約企業で働く労働者の最低賃金引き上げを実施しますが、その財源は大企業と富裕層への税率を引き上げることで賄うとしています。
日本でも同様な施策を行うことは可能です。また自民党の議員連盟からも、大企業の内部留保に課税して財源をつくることが提唱されており、世論になりつつあります。
日本社会や経済の発展にとって、最賃の引き上げは不可欠であり、大義があります。職場・地域からも運動にとりくみ、今年の最賃引き上げを勝ちとりましょう。