2013年からの3年間で、生活保護水準を最大10%引き下げたことは違法だとして、生活保護利用者約1千人が全国で裁判を闘っています。神奈川でも40人以上が原告として闘っており、神奈川労連も「支援する会」に参加し協力してとりくんでいます。
この間、2月22日には大阪地裁で画期的な勝利判決が出され、一方、3月29日には札幌地裁で極めて不当な判決が出されています。2つの判決を学び、闘いに活かすための学習会が4月12日に開催され、約30人が参加しました。
判断根拠に問題
講師の井上弁護士(神奈川生存権裁判弁護団長)は、大阪地裁がどのような判断で公正な判断をしたかを解説。
厚労省が引き下げの根拠とした「調整方法」を検討し、物価下落を理由とした「デフレ調整」に問題があると結論づけていると述べました。
具体的に判決では、物価を比較する際、基準年とした年に特異な物価上昇があったことを指摘し、「統計等の客観的な数値等との合理的関連性や専門的知見との整合性を欠くものというべきであるから、…その判断の過程及び手続に過誤,欠落があるといわなければならない」と判断。
従って、厚労大臣の判断は「裁量権の範囲の逸脱又はその濫用があるから」生活保護水準の引き下げ改定は、生活保護法に「違反し、違法である」と判決しています。
一方の札幌判決では、「調整方法」などの具体的な検討は行わずに、「最低限度の生活は抽象的、相対的で相当程度の幅のある概念であることを踏まえれば、本件全処分後の生活が最低限度の水準を下回っているとまでは認められない」との判断となっています。
参加者は、大阪判決を活かしながら、勝利をめざすことなどを確認しました。