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2021年5月3日

『悪質な判決』 日通無期転換逃れ裁判

368-02

 3月30日、横浜地裁川崎支部・飯塚宏裁判長は、日本通運が強行した無期転換権の発生1日前の雇止め「無期転換逃れ」を容認する判決(棄却)を下しました。

1日前に雇止め

 原告の全川崎地域労組組合員は、2013年に日通川崎支店に1年更新の契約で有期雇用されました。無期転換権が発生する1日前の2018年6月末に雇止めとなりました。団体交渉で雇止め撤回を求めましたが、会社がかたくなに「契約満了」を主張し雇用継続を認めなかったため、提訴しました。

 非正規や有期雇用労働者の労働契約法をめぐる最高裁判決が出始めていますが、無期転換をはじめ、まだ労働法理は確定していません。裁判では、労契法18条・19条・20条の非正規・有期労働者の雇用の安定や不合理な格差の是正が争点になりました。

「不更新条項」

 判決は、労契法制定趣旨を鑑みず、「契約書のサイン」だけを取って労働者は納得したとし、さらに日通が派遣から有期雇用に転換したことを「収入が安定して良かったでしょ、日通に感謝しなきゃ」と大企業・日通の言い分だけを採用し非正規労働者を切り捨てる悪意に満ちた内容です。

 「契約書のサイン」とは、雇用契約更新時の「不更新条項」のことです。「契約が更新されないと理解してサイン」したことを判決理由にしています。しかし、サインしなれば契約は更新されない、非正規労働者のおかれている現状を無視するだけでなく、労契法18条(無期転換)逃れであり、原告が働く職場は基幹業務で今後も継続する事業です。つまり、労契法19条(雇止め濫用法理)の更新の期待権も否定しています。

法改正が必要

 この判決は、原告・有期労働者の主張を一切認めず、日通の脱法行為を認め、有期労働者の地位の安定と契約の形式ではなく実態に基づいて判断する労契法趣旨にも反します。

 今年は、労契法18条の見直し時期となっています。労働契約期間の上限は3年に改悪されましたが、その期間よりも長い無期転換申込み権が発生するまでの5年間を短縮すること、不更新条項を無効とすること、さらには2千万人にも達している非正規雇用への入り口規制すること、などの見直しが求められています。

 原告は東京高裁で控訴審をたたかいます。司法の場で労契法の労働法理の確定にはまだまだ時間とたたかいが必要です。非正規雇用労働者のおかれている状況や労働現場の実態をさらに社会的に明らかにして、「正規と直接雇用が当たり前」を実現する運動の強化が求められています。

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